2020年12月23日のお話。
前回の記事でエンジンの寿命の話をしたんですが意外と長く持つっていうのはわかったと思うんですよ。
ただエンジンのメンテナンスはオイル交換やオイル管理をきちんと行っていればそれだけで良いのかっていうとそうではないんですよね。
エンジン本体のメンテって話はあまり聞くことがないと思うんですよ。
昔からバイクに乗ってる人だと知ってる人がいると思うんですがエンジンのメンテナンスって言えばタペット調整を思い出すんじゃないですかね。
一般的にエンジンのメンテナンスや調整と言えばこのバルブクリアランスを適正にするタペット調整なんですよ。
バルブとカムシャフトまたはロッカーアームとの隙間をバルブクリアランスといいその隙間の調整をタペット調整って言うんですよ。
この隙間が広くなるとヘッドカバー辺りからカシャカシャっていう音が大きくなってくるんですよね。
この隙間なんですが広くなるだけじゃないんですよ。
隙間が無くなることもあるんですよね。
意外と知らない人が多いんですがタペット調整イコール大きくなった隙間を適正にすると思ってるんですよ。
バルブクリアランスの確認は広いのか狭いのか両方の確認をしないとダメなんですよね。
広くてもダメだし狭くてもダメ。
適正な隙間となる基準値があるんでその範囲内に収まってるのかを確認しないといけないんですよ。
バルブクリアランス広いとタペット音が大きくなるからわかるんですが狭いときはタペット音はしませんからね。
音がしないから大丈夫ってワケではないんですよ。
広くても狭くてもエンジンに悪影響を与えるのは変わらないんですよ。
百害あって一理なしってヤツなんで。
どっちの場合でもカムシャフトの山やロッカーアームの当たりが激しくなるのでそのまま乗っていると両方を傷つけてしまうんですよね。
大きな傷がつくってワケじゃなくてすり減ってくるんですよ。
すり減るとエンジンの吹け上がりやパワーの出方に影響するしひどくなるとセッティングまで変わってくるんですよね。
キャブセッティングや燃調を合わせないといけないぐらいにね。
それぐらいエンジンの特性やパワーに影響する重要な部分になるんです。
だからこそ定期的なメンテが必要になってくるんですよね。
どれぐらいで確認すれば良いのか?
気になりますよね。
これも乗り方や走るステージによってピンキリなんで正直何とも言えないんですが一般的な乗り方だったら3万キロぐらいは大丈夫だと思うんですよ。
サーキット走行ばっかりで常に高回転を多用するような走り方なら1万キロで確認したいところ。
これがミニバイクのような小排気量なら5000キロぐらいでエンジンチューンしてるならもっとマメに見てあげたいところですね。
確認するサイクルはこんな感じになりますね。
正直なところ絶対に確認しないといけない部分ではないしエンジンが壊れることはないんですよね。
やらなければやらないで良いとは思うんですよ。
ただ大事に長く乗っていきたいって思ってるなら絶対にやっておいたほうがエンジンのコンディションを最良な状態に保つことができるしエンジンのオーバーホール時期を延ばすことができるんですよ。
またオーバーホールする時に交換する部品も少なくなるんで部品代を大幅に抑えることができるんですよね。
カムシャフトやロッカーアームを交換するってなると4気筒のツインカムなら凄い金額になりますからね。
2、3年で乗り換えるならやらなくても良いけど長く乗り続けるつもりならやっておいたほうが良いと思うんですけどね。
自分でするかお店に出すかは人それぞれだからどっちでも良いんですが一応やり方を知っておけば何かと役に立つと思うしお店の人と相談する時にも話がしやすいと思うんですよ。
こういう時にサービスマニュアルがないと作業できないんで自分でやらなくても良いからやり方や適正値の確認ぐらいはして欲しいなって思いますけどね。
確認は簡単で各気筒の圧縮上死点を出してからバルブのトップとカムシャフトまたはロッカーアームの隙間にシックネスゲージを差し込んで確認するだけです。
確認できて隙間が広いまたは狭いときの調整方法ははロッカーアーム式でタペットアジャストスクリューが付いてるタイプは簡単に調整できるんで合わせることができるんですよ。
ただカムシャフトでバルブを直接押してるタイプや最新SSのようにフィンガーフォロワーロッカーアームを採用してるエンジンはシム式になるんで調整がめんどうになる上にシムの購入も必要になるんで何かと大変なんですよね。
カムシャフトで直接バルブを押す直押し式のバルブ周り。
バルブの上にあるのがシム。
カムシャフトと直接当たるリフター。
バルブクリアランスが広いときはアジャストスクリューを締めるかシム式なら厚みのあるシムに交換する。
狭いときはアジャストスクリューを緩めるか薄いシムに交換すれば大丈夫。
最後になぜバルブクリアランスが広くなったり狭くなったりするのか。
これが一番問題なんだけど広くなるのはカムシャフトの山やロッカーアームの当たり面、バルブトップの減りなんですよね。
原因はいろいろあるんで一概には言えないんですがバルブスプリングが強い、タペットクリアランスの不適正、各部品の材質的な問題、オイル管理といったところですかね。
特に問題なのがバルブクリアランスが狭くて無い場合。
普通で考えたら広くなることはあっても狭くなることはなさそうなんですがシートリングがすり減ってバルブの位置が上に上がってくるんですよ。
走行距離が多くなればなるほど。
バルブクリアランスが無くなるだけじゃなくカムシャフトやロッカーアームを押してしまうぐらいに力が掛かってしまうことになるんですよ。
そうなるとカムシャフトやロッカーアームの異常磨耗が起きてしまい確実にパワーダウンするし調子の悪いエンジンになるんですよね。
チューニングエンジンならバルブクリアランスの確認は定期的に行い常日頃から気に掛けてるんでんですがノーマルエンジンでも部品の強い弱いがあるんで目に見えない小さな問題は起こるんですよね。
だからこそ定期的なメンテナンスが必要になるんですけどね。
今時エンジンのメンテナンスなんて一般的ではないから知らない人が多いと思うんですが車と違って趣味の乗り物であるバイクだからこそ知っておいて欲しいなって思うんですよ。
長く大切に乗っていきたいって思うバイクと出会ったときはエンジンのメンテナンスは必要なことだっていうことを覚えておいて欲しいんですよね。
滅多に壊れないけど壊れるとめちゃくちゃ高くつく部品なんでね。
うちのVTR250みたいに安くで手に入るエンジンもあるけど。
でも、だいたいが安かろう悪かろうなんで手を加える前提なら良いけどね。
バイクと一緒で程度の良いエンジンほど高価になるからね。
難しいことはどうでも良いしブログだけで詳しく説明するのは難しいんで、せめてバルブクリアランスという言葉ぐらいは覚えておいてくださいね。
エンジンのヘッド周りの音が大きくなったときはバルブクリアランスが狂ってるんだなって知ってるだけでも不安になることはないと思うからね。