平賀源内がペンネームで書いた、神霊矢口渡、
面白くて、引き込まれました。






一、神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)
極悪非道の父に立ち向かう娘の恋心

 六郷川の矢口の渡し。渡し守の頓兵衛は、足利と新田の争いで褒美の金欲しさに足利方の手先となり、新田義興の溺死に加担した強欲者。ここへ、義興の弟義峯が恋人である傾城うてなと訪れ、偶然にも頓兵衛の家に一夜の宿を乞います。頓兵衛の娘お舟は、気品あふれる義峯にひと目惚れ。義峯に恋心を明かします。一方、義峯の素性を知った頓兵衛は、再び金目当てに、その命を狙いますが…。
 江戸時代に多分野で活躍した才人、平賀源内が「福内鬼外」のペンネームで描いた浄瑠璃の傑作。父頓兵衛の強欲非道ぶりが、娘お舟の悲恋を一層際立たせます。




二、本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)
歌舞伎の美をまとう「白雪姫」

 その昔、とある名家の奥方である野分の前が、大層可愛らしい赤子を授かりました。白雪姫の誕生を皆喜びますが、母親である野分の前だけはつれない様子。白雪姫が美しくなるにつれ、自分の美しさが衰えていくのではないか疑心暗鬼になっていたのです。なだめる局たちの言葉にも耳を貸そうとしない野分の前が、何気なく奥殿の鏡に問いかけると、鏡の精が現れてその美しさを讃えます。これに気を良くした野分の前は、いつまでも鏡に自分の美しさを尋ねるのでした。
 十数年後、白雪姫はさらに美しい姫に成長しています。野分の前の不安は大きくなり、ついに鏡の精も白雪姫の方が美しくなったことを認めます。野分の前は白雪姫をやり込めようと琴の弾きくらべを行いますが…。
 家臣の郷村新吾は、いよいよ白雪姫をなきものにしようとする野分の前の命を受け、白雪姫を山中に連れ出します。姫を手にかけようとしたそのとき、新吾はそのあまりの美しさに心を打たれ…。
 『本朝白雪姫譚話』は、世界的に親しまれるグリム童話「白雪姫」を題材にした新作歌舞伎です。美しい白雪姫、その美しさを妬む母親、鏡の精や小人たちなど、原作に登場するモチーフを大胆に歌舞伎の世界にとり入れ




  







福内鬼外 作

一、神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)
頓兵衛住家の場
渡し守頓兵衛
娘お舟
傾城うてな
下男六蔵
新田義峯


児太郎
萬太郎
坂東亀蔵

グリム童話「白雪姫」より

竹柴潤一 脚本

坂東玉三郎 補綴

花柳壽應 演出・振付

花柳壽輔 演出・振付

二、本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)
白雪姫
鏡の精
野分の前
輝陽の皇子
浦風の局
従者晴之進
家臣郷村新吾
玉三郎

児太郎 
歌之助 
歌女之丞 
彦三郎