「グリム童話 眠り姫」の話(284号2013年09月号) | 仙台市青葉区八幡2丁目・小田眼科ニュース

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第284号2013年09月号「グリム童話 眠り姫」の話

 暑かった8月が終わり朝晩涼しくなりました。実りの秋を迎えますが、食べ過ぎに気をつけて体力保持をして下さい。日々の軽い運動を心がけましょう。今年は夏が暑かっただけ美しい紅葉が楽しめそうです。    
 
 今月は「グリム童話 眠り姫」の話です。    

 ドイツのグリム兄弟(ヴィルヘルムとヤーコブ)はゲルマン民族に語り継がれている物語の聞き取りをし、これをまとめて1812年に『グリム兄弟の子どもと家庭の童話』第1巻、1815年に第2巻を刊行しました。この童話集は160以上の言語に翻訳され、聖書に並ぶといわれるほど広く読まれています。また、この兄弟の仕事は多くの国で民話研究の発展に大きな影響を与えました。

 しかし、最近、グリム童話が人種差別、女性蔑視、性別役割分担等について、読者、特に幼い子どもに「刷り込み」を与えると問題になっています。性別役割分担というのは  男性は社会・家庭・企業などの中心であり、女性はそれを支える者で、男性が人生の主役であるとする考えです。  

 例えば「眠り姫」では王女の誕生を祝って魔女達は「美しく、心優しく、素直で、踊りがうまく、歌が上手な王女になるように」と最大級のお祝いの言葉を捧げました。これらは、多くの女性が持ちたいと望む美点と受け止められますが、ここには女性は美くしくあるだけで、1人の人間として困難に立ち向かって人生を全うするための知恵や才能、努力する心、勇気などを必要とする者とは考えられていません。

 この童話をウオルト・ディズニーがアニメ映画にし、美しい王女のイメージを定着させました。それまでは、翻訳された各国の童話集には、それぞれの国の若い男女などのイラストが描かれ、それを読む子ども達は、アジア、アフリカ、インドなど、それぞれの国と人種で夢を膨らませることができました。ところが、ディズニーが描く女性はみんな金髪で肌が白く眼が青い白人女性、王子は背が高く同じような髪と肌と眼の色を持つ白人男性です。ディズニーアニメは白人が最も美しいという「刷り込み」を世界中の人々に与えました。その結果、若い女性は髪を金色に染め肌を白く見せるようなお化粧に走りました。

 この物語は1人の魔女が口にした呪いの言葉「王女は15歳になった時、紡錘(つむ)に指を刺され、命を落とす」が投げられることにより、緊張感が生まれます。最後に残された良い魔女の「死ぬのではなくて100年の眠りにつくだけ」という言葉により王国に一時の平和が訪れます。この間に王は国中に機織りを禁じ、紡錘を排除しました。15年間、王女は美しく心優しい女性に育ち、王国は幸せで平和な日々を過ごします。

しかし悪い魔女の呪い通り物語は進み、15歳になった日、王女は紡錘で指を指し100年の眠りにつきます。  100年後に白馬に乗った王子が現れ姫を覚めさせ、王女は乗り物を乗り換えるように父親から夫に庇護される身になり「めでたし、めでたし」で物語は終わります。

 魔女の呪いを受けて、王は国中から機織りを排除しましたが、紡錘は危険なものであると王女に教えるべきだったのではないでしょうか。女性が自分を守る知恵や判断力を持たず、常に父や夫等によって守られるのみの存在であってはなりません。人生は結婚する事では終わりません。むしろ、人生の試練はそれから始まります。子どもが生まれ、夫の失職や病気、夫との離婚、それに自分も健康でいられるとは限りません。成長するに伴い子どもは様々な問題を持ち込みます。夫や自分の両親の高齢、病気と介護どなど。人生には常に新しい困難な試練が待っています。女性はそれらの試練に自分の知恵で挑戦し、解決しなければなりません。ただ守られるだけではなく、賢く主体的に人生を生きる女性でありたいものです。  
小田眼科医院理事長 小田泰子
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