鉄道を利用して撮影旅行に明け暮れていた若い頃は早朝の列車で撮影地に赴いたものだ。

乗車した時点では車内はガラガラで、4人がけのボックスシートで寛げる。ヘタをすると靴を脱いで向かいのシートに脚を投げ出したりもするが、駅に止まるたびに高校生が少しずつ乗り込んでくるのですぐに引っ込めることになる。朝のローカル列車は通学列車なのだ。しばらくすると周りのシートは高校生で埋まっているのに自分のところだけは相変わらずひとりという状況であることに気がつく。たぶん仲の良いグループごとにどこに座るかが決まっていて、運悪く自分たちのシートに見知らぬ旅人がいると立ちっぱなしになってしまうのだろう。こちらは誰か座ってくれないかなぁと願うが、そうはならない。こういうときほど居心地が悪いことはない。早く目的の駅に着かないかと落ち着かない気分になったものだ。

この辺の事情は現在でもあまり変わっていないのではないかと思う。ひとり落ち着かない気分で朝のローカル列車に乗っている鉄チャンに同情を禁じ得ない。


(↓函館本線小沢にて)



極めつき厄介なのは石北本線網走行の夜行急行だった。この列車の急行運転は北見までで、早朝の北見からは定期券だけで乗れる普通列車として運転される。当然通学の高校生も乗ってくる。ボックス席で〈Lの字〉や〈逆への字〉になって寝ていると周囲のざわめきを感じ、薄目を開けてみると通路に立っている高校生が•••  あまり歳の違わない女子高生にぶざまな寝姿を見られていると思うと恥ずかしさはMAX。こういうときは気づかないふりをしてそのまま横になり続けるか、起き上がり居住まいをただすかの二者択一だ。小心者の僕は後者。でもこの列車で通う高校生たちはそういう場面に慣れているのか、僕が起き上がるとすぐに着席し何事もなかったかのようにカバンから本を取り出し読み始めるので目が合うこともない。思春期!?の甘酸っぱい思い出である。


(↓飯田線三河槇原にて)