(前回までのあらすじ)
2021年3月末。
組合からは導入に反対し、導入するならその経緯を報告してほしいと要求してきた、
「1年単位の変形労働時間制」。
2021年3月24日から転勤になった教室において、それが、すでに導入されていたことを知ることになる「2021年大阪府労委ウィザス事件」の組合員。
「まだ検討中です。」と組合担当のF氏は団体交渉で言っていたことが嘘であり。
「トライアル」と称して一部すでに導入され。
簡単な説明のみで労使協定を結ばされて、変形労働時間制が適用されている社員たちがいるということも知ることになる。
2021年年6月25日。
オンラインで、1年間の変形労働時間制が導入されることが発表される。
4枚のスライド、約5分の説明で終了。
2021年6月25日。
団体交渉等で伝えてきたことを無視されたことに驚いた組合は、団体交渉の申入れを行う。
2021年7月2日。
団体交渉を実質拒否する回答書がウィザスから届く。
仕方なく、別件の非公式折衝の合間に団体交渉を開く必要がある理由を説き、交渉実施を促す。
しかし、最終的にはメールにて団体交渉には応じない旨の返事が届く。
2021年9月22日。組合から確認のメールにはついに返答もなくなる。
組合は団体交渉拒否の不当労働行為として、大阪府労働委員会に追加の申立てを行うことを決定する。
(あらすじここまで)
2021年12月3日。
組合は、この「2021年66号ウィザス事件」、つまり2つ目の大阪府労働委員会への申立書、を大阪府労働委員会に提出します。
なぜこんなに時間差があるかと言うと、1つ目の申立て、「2021年40号ウィザス事件」が進行しており、その準備が都度、必要だったからです。
ということで、今回は、労働委員会への救済申立てがどう進んでいくか、改めて紹介します。
○救済申立てを作成する。
事件の背景や具体的事実を中心に記載します。なかなか難しい。経験がないとなかなか書けませんね。
その代わり、労力はかかりますが、裁判のように費用はかかりません。
完成したら、労働委員会に提出します。
○労働委員会が調査開始を宣言する。
申立人(この場合は組合)と被申立人(この場合はウィザス)に、大阪府労働委員会から調査開始通著書が送付されます。
被申立人には、申立書の内容について、期限(10日?)までに「答弁書」を作成するよう通達されます。
○第一回調査
労働委員会が指定する日に申立人と被申立人の双方が集められます。
そこで、「申立書(申立人・組合側)」「答弁書(被申立人・ウィザス側)」について、労働委員会から双方への質問「求釈明」が渡されます。そしてそれを次の調査日の10日前までに提出するように求められます。
次の調査日について、労働委員会、申立人、被申立人で調整します。
三者が直接、内容についてやりとりすることはありません。
※「2021第66号ウィザス事件」
(一番最新の二つ目の申立て。1年の変形労働時間制の団交拒否案件)
は、来年に第一回目調査、ここから「2021年40号ウィザス事件」と併合して進みます。
○第二回以降の調査
調査日の前に、双方の求釈明に対する返答、「準備書面」が共有化されます。
そして一回目と同様、提出された準備書面を確認した労働委員会から、双方に新たな求釈明が渡されます。
調査は、だいたい5回で終了します。
※「2021年第40号ウィザス事件」
(一つ目の申立て。みなし残業代不支給と団交拒否案件)
は、今ここです。第三回調査まで終了しています。
○審問
期日を設けて、「証人尋問」等が行われます。ここで不当労働行為にあたる事実の有無を調べます。
○合議
交易委員会議において、事実を認定し、不当労働行為に当たるかどうか判定します。
○命令書写しの交付
救済命令か、棄却命令か、却下決定、のいずれかが決まります。
なお、裁判と同じように、不服がある場合は再審査の申立てができます。
(命令書の交付後15日以内)
また、地方裁判所に命令取り消しの訴訟を提起することができます。
(命令書の交付後、使用者は30日以内、労働組合や労働者は6か月以内)
救済命令が確定しているのに使用者が命令を履行しない場合は罰則が科されることもあります。
審問は来年になると思われます。