J・デプリーストさんの想い出
デプリーストさんの演奏に初めて接したのは、おそらく今から15年以上前のこと。「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲の静けさと「ローマの松」の圧倒的なボリュームの演奏が非常に心に残っています。その時のアンコールが「アッピア街道の松」。
その次が「悲愴」。この曲は録音ではなくコンサートホールで聴く曲だということが良くわかりました。
前・石原都知事との確執によりベルティーニ氏が失意のまま音楽監督を去り、後任は誰だろうと思っていたら、デプさんが常任指揮者に選出され、ある意味ほっとしたのは、つい、この間のように感じています。一番の功績は、「のだめ」に登場して、今までコンサートホールに足を運ばなかった方々を呼び込んだことではないかと思います。
ゲネプロ含めて、26回の演奏に接することができました。切々と謳うソプラノがすばらしかったヴェルディのレクイエム。悲しくも官能的なクラリネットが白眉だったラフマニノフの交響曲第2番。感動のショスタコービッチのチェロ協奏曲(独奏:超静)。都響の底力を引き出し「熱狂的な力」をホールに再現させたマーラーの5番。「黄昏達成感」を味わえたワーグナーの序曲集。横浜でのホルストの惑星・・・ そして忘れることのできないアンコールが2つ。最初だけ棒を振ってあとは目だけで合図した「フィガロ」、弦が泣いていた「ヴォッカリース」。本当に素晴らしい演奏に接することができました。
もう一度、聴きたい指揮者でしたが、ベルティーニ氏に続き、鬼籍に入られてしまいました。
ご冥福を祈るばかりです。
シシリエンヌ~フランスの薫り
ショーソンといえば、古色蒼然たるトランペットの響きが印象的なシンフォニーを思い浮かべます。逆に、それしか、思い浮かびません(詩曲という素晴らしい作品があるそうですが)。「ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のための協奏曲」、予想をはるかに超える素晴らしいものでした。
MCはチェロの長谷部さん。実に明快で面白いお話が炸裂。ときどきブログを覗いているのですが、とても文章がすばらしいです。特に印象に残ったのは、「モーツァルトやベートーベンは遠い存在だけれど、ラヴェルやドビュッシーは、まだ、『生の声』を聞くことができる存在だ」ということ。長谷部さんがパリに留学しているときに就いた先生(パスキエさん)のお父様がラヴェル作曲を依頼したとのこと。残念ながら作品はできなかったのですが、ピアノ三重奏曲の最初の音符についているスタッカートは「より短く」、とか、速度指定は「それよりも速ければよい」といったことを作曲者のラヴェルから直接聞いたそうです。
【長谷部さんのブログ】
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それにしても、今日のプログラム・近代フランスの室内楽、実に聴きどころがありました。ドビュッシーのカルテット、今まではパステルカラーのイメージだったのですが、今日の演奏は、「髪の毛振り乱して」という感じで、驚きました。ラヴェルの「光と影」も十分堪能できました。
それよりもなによりも、ショーソンの作品でのヴァイオリンの独奏が本当に素晴らしかったです。都響の演奏会で、コンチェルトを是非、演奏してほしいな、と強く感じました。
アンコールはフォーレの「ペレアスとメリサンド」から「シシリエンヌ」。
終演後、吉岡さんのところへごあいさつに伺ったのですが、オーケストラバージョンの楽譜から全員でリライトしたとのことでした。
【演目】
ドビュッシー:弦楽四重奏曲
ラヴェル:ピアノ三重奏曲
ショーソン:ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のための協奏曲
≪アンコール≫フォーレ:シシリエンヌ
Pf:児玉桃(ラヴェルとショーソンに出演)
Vn:吉岡麻貴子、横山和歌子、及川博史(ショーソンに出演)
Vl:小林明子
Vc:長谷部一郎
於:東京文化会館・小ホール
【註】
シシリエンヌとは、舞曲の一形式。
ショーソンのコンセールの2楽章がこの舞曲。アンコールにフォーレの作品も持ってきたところに、プログラムビルディングの意図を感じました。
2012年の演奏会 ベスト5
インバル&都響のマーラー・チクルス(1番~4番 特に「愛が私に語ること」の「3番」)、同じコンビでのブラームスの全曲演奏会、辻井クンのコンチェルトとDSCHの「10番」、ヴィオラ・スペースで行われたコンクール(ブラームスの最晩年の作品に感激!)、お友達のハーピスト・松村多嘉代さまが出演されたリサイタルなどなど、記憶に残るコンサートがたくさんありました。
栄光の第一位は・・・
インバル&都響によるショスタコービッチの交響曲第4番。(3/23 東京文化会館)
チェレスタの不思議な音が静かに消えていくと、会場全体が凍りついたようになりました。空前絶後、という表現がピッタリ。これは、文句なしに決まりました。
第二位以降の選出は相当迷いましたが、京響のシヘェラザード(4/5 りゅーとぴあ)。
松村衣里さん(Hp)のエレガントな、それでいてとてもクリアーな音色の独奏が白眉。加えて、ロビーコンサートで演奏されたトゥルニエの「森のいずみのほとりにて」。静かな泉に棲む妖精が現れてくるのではないかと思わせるような演奏。この曲を聴くことができたことだけでも、新潟遠征をした甲斐がありました。
第三位は、ブラームスの全曲演奏会から「4番」(10/22 サントリーホール)。
すさまじいスピード感、熱気あふれる演奏。正統派とはいえないスタイルだと思うのですがこれは外せませんでした。チェリビダッケ&ミュンヘンフィルのあの「遅い」テンポのアプローチとはまるで逆、といってもいいかと思います。
第四位は、ヤクブ・フルシャ指揮、ゲルハルト・オピッツ独奏によるバルトークのピアノ協奏曲第2番。(12/15 サントリーホール)
バルトークらしからぬ、とても柔らかい演奏にびっくり。後半のコダーイ「ガランタ舞曲」、バルトークの「中国の不思議な役人」も秀逸でした。
第五位は、山田和樹&都響によるラフマニノフの交響曲第2番。(1/28 サントリーホール)
大河の流れのようなラフマニノフに痺れました。低弦の素晴らしさも再認識。ゲネプロ、本番と続けて聴けたこともナイスでした。
特別賞はお二人
ウェーバー・クラリネット協奏曲を演じた藝大の下路詞子さん。あの終楽章、いとも簡単に吹いてしまうテクニックに驚愕。高校の後輩でもあるので(ずいぶん下だけれど)、今後が楽しみです。
ステキなランチタイムコンサートで飛躍を遂げた姿をみせてくれたピアニストの守重結加さん。バッハのフランス組曲に命を与えてくれるような演奏。ドビュッシーの「喜びの島」の冒頭のトリルと早いパッセージの素晴らしさ! あと、なんといっても、高校時代から封印してきたショパンをもう一度聴いてみようかな、と感じさせてくれました。とても日本的だ、という見解に納得でした。
おふたりとも更なる研鑽を積んで、また、現れてくれると確信しています。
ショスタコービッチの叙情
演奏される機会がほとんどないモーツァルトの小品、名曲中の名曲「死と乙女」、そして後半はショスタコービッチのピアノクインテットという構成でした。
演奏している姿を見ることができるからでしょうか、録音で聴くのと、ホールに出向くのでは音楽の聴こえかたが全く違うように感じました。特に、ショスタコービッチの作品では、ピアノとヴィオラ、ピアノと第一ヴァイオリンといったように、各楽器が独奏楽器のようにも使われていることが良くわかりました。演奏者たちのトークも秀逸。ヴィオラの小林明子さんは、「ショスタコービッチのクインテットは音符が極端に少ないのですが、その中でスターリン時代の圧政をどういうふうに表現するのか。ミュート(弱音器)を使う箇所もあるのですが、そこでは抑圧された言論に対するアンチテーゼみたいなものを表現しなくちゃ、と感じます」といった内容を話されていました。
ピアノの小川典子さんの演奏も素晴らしい! カルテット・ローエも息のピッタリあった演奏だったと思います。室内楽は嵌ると怖いといわれていますが、どうも、マズイ方向に進んでいるようです。
前半はブルーを基調としたドレス、後半は黒を基調に赤をアクセントにしたドレスと使い分けていたのも、曲想をよりわかりやすくしてくれたように感じました。
アンコールは、これまた珍しい曲で、シェーンベルクの「鉄の旅団」。ときに、掛け声を入れたり、歌がはいったりと、楽しい作品でした。
【演目】
モーツァルト:アダージョとフーガ
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」
ショスタコービッチ:ピアノ五重奏曲
SQ:カルテットローエ
Vn:田口美里、小林久美
Va:小林明子
Vc:江口心一
Pf:小川典子
ブラームスとラヴェル
小泉さんが両手を前に出し、左手の人差し指を2、3度握るように動かした後、タクトを振り上げると緊迫した弦の音音が。長い序奏のあと現れたピアノのタッチがものすごく柔らかい。え~、こんなブラームスもあるんだ、と思っていたのですが、なかなかいい。要所要所で管楽器が素晴らしいアシスト。小泉さんの指揮は、アクションが単純なので、見た目あんまり面白くないんだけど、安心。惹き込まれるように聴いていると、あっという間に終わってしまいました。鳴り止まぬ拍手で、(たぶん予定していなかったであろう)アンコールは、シューベルトのアムプロンプチュ。昔々に弾いたことがるので、とても懐かしい気持で聴いていたところ、このタッチ、ラドゥ・ルプーにちょっと似ていたことに気がつきました。
後半は、ラヴェルの「ダフ・クロ」。
第一組曲の静寂と律動、第二組曲の「夜明け」の冒頭の木管セクション、パントマイムのフルート、全員の踊りの盛り上がり、ラヴェルが音の魔術師といわれるのがよくわかります。タンバリンの近くにいたのですが、指たて伏せをするみたいな手の形で打つんですね。ありゃ、相当痛いんじゃないかと。で、フォルテッシモのときはグーで。楽器は奥が深い・・・
ちょっとだけ、気になったこと。
スタンドアップのときに指揮者と楽員さんたちのコンタクトがうまくいっていないんです。わかりずらい指示でした。折角の名演奏だったので、大友さんや下野さんみたいな指示を出してほしかったです。トランペットや小クラリネット、打楽器、ハープ、木管セクション全員も立たせてほしかった。
【演目】
ブラームス:ピアノ協奏曲第一番
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第一組曲、第二組曲
指揮:小泉和裕
Pf:アンドレア・ルケシーニ
オケ:都響
於:サントリーホール
白雲、尽くることなし
録音も含めてはじめて聴く「亡き子を偲ぶ歌」。静かに、切々と語るような歌い方。後ろ側から見ていたのですが、背中が泣いているようでした。作曲者自身のメッセージと、昨年の震災のときの悲しい別れへのレクイエムのふたつが織り交ぜられているように感じました。
以前、「夜が私に語ること」を独唱されたとき、音をださないように素足でPブロックに登場されたと友人がブログに書いていました。とても細やかな心遣いのできる方なんですね・・・
後半は、交響曲「大地の歌」
最後の場面で、Ewig(永遠に)という言葉が何度も、何度も現われ、寂しげなチェレスタの響きのあと、音楽は解決しないままに終わってしまいます。
オケはどのパートも素晴らしいパフォーマンス。テノールは不調だったのでしょうか、あまり声が響きませんでした。それゆえ、いっそう、メゾソプラノのフェルミリオンさんの歌唱力~手にその表情が良く現れていました~が光りました。一昔前の録音ですが、コントラアルトのキャスリーン・フェーリア(ワルター指揮:ウィンフィル)に匹敵するできばえだったのではないでしょうか。
このシンフォニーは、ハンス・ベートゲが訳した唐詩選をもとにして書かれた詩をモチーフにしています。原詩を学生時代に探したことがあります。記録が散逸してしまっているのですが、終楽章の後半部分は、「無尽白雲(はくうん、つくることなし)」というひとことをパラフレーズしてあります。東洋的な諦観とは異なりますが、これは名訳だと感じています。
【演目】
マーラー:亡き子を偲ぶ歌
マーラー:大地の歌
指揮:エリアフ・インバル
Ms:イリス・フェルミリオン
T:ロバート・ギャンビル
オケ:都響
於:サントリーホール
ハイエナ投資家のひとりごと
ときどき、私のブログに遊びに来てくださる方が、家を買うことになったそうです。大きな決断をして、買い物をされるにあたって、若干、不安が残るとおっしゃっていました。コメントに、現在から60歳になるまでの毎年の資金の動きと残高を1万円単位でシミュレーションをしてみるといいですよ、とアドバイスをさせていただきました。わかりにくい表現だったので、こんな方法もある、ということをご紹介します。
尚、ここでは、価格が時価で変動する資産(株式・債券・外貨など)は保有していないものとして話をすすめます。
①資金の「入り」の算出(話をカンタンにするために、手取りで考えます)
(準備するもの)
・12月にもらう源泉徴収票
・6月にもらう地方税明細(なければ給与明細)
手取り額=源泉徴収票の(「支払金額」-「源泉徴収税額」-「社会保険料等の金額」)-地方税額明細の合計
★地方税の明細がない場合は、給与明細の「地方税」×12
②資金の「出」・・・現時点での必要経費
①で求めた手取り額-その年の貯金増加額
ただし、③の費用が含まれている場合は、それを除外
③イベント費用の算出
・車の買い替え額
・ローンの返済額(現在、必要経費に含まれていないため→見直しのときに繰り入れてもOK)
・所得税の還付予定額(めんどうくさければ省略)
・固定資産税の概算
・子供の教育費
・子供への援助費用(結婚式の費用など)
・購入した家の修繕費
・大きな旅行費など(毎年恒例ならば、必要経費に計上)
これらをエクセルを使ってまとめていきます
1行目 金融資産の期首残高
2行目 手取り額(昇給表に基づいて昇給シミュレーションをしてもよいのですが、毎年、同額でも可)
3行目 必要経費(毎年、同額で可能)
4行目 イベント費(ひとつづつ積み上げ)
5行目 金融資産の期末残高(期首残高+手取り額-必要経費-イベント費)
次の列の1行目は、前の列の5行目のデータをもってくればOKです。
大切なのは、これを毎年見直していくことです。
計画なので、うまくいかないのがフツー。まあ、試算した時点で資金ショートの場面があると思いますが、それは教育ローンなどで凌ぐということになります。で、65歳まで働くとして、60歳の時点で金融資産の残高が退職金と併せて3000万円あれば、まあ、大丈夫、ということになります。
そうでない場合は、「入るを図って、出ずるを制す」ということを考えないといけません。
どうでもいいんですが、ハイエナ投資家の私は、資産管理に重点をおいていいます。そんなわけで、毎週末、必ず、「破産のシミュレーション」をしております(苦笑)。
今日のブランチ









