1型糖尿病とか2型糖尿病とかその他の糖尿病とかの分類

1型は先天性で2型は後天性かと単純に認識していましたが、そうではないようで。。

テキストが長くていっぺんに頭に入らないので、とりあえず引用して貼り付けて、あとで読もうかとそんな考えです。〆(ーー;


引用元はドクター江部のブログです。いつもお世話になっております。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1599.html

■■■ここから下、まるまる引用です■■■

さて
1型糖尿病と2型糖尿病とか妊娠糖尿病とか、皆さん言葉は聞いたことはあるでしょうが、
その実態はというと、案外誤解されていることも多いので、
復習を兼ねて整理整頓してみます。

糖尿病の分類ですが、最近は、従来の
インスリン依存型糖尿病(IDDM)、
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)
という言い方はしなくなりました。
糖尿病を病因による分類と、現在の状態を表す分類に整理した方が、
すっきりするからです。



■病因による分類

1)1型糖尿病(従来のIDDMとほぼ一致)
1型糖尿病は、膵β細胞の破壊によりインスリン分泌が枯渇し発症します。小児期に起こることが多いため、小児糖尿病とも呼ばれます。近年、1型糖尿病の多くは、自己免疫機序(免疫の誤作動)により数ヶ月~数年にわたってβ細胞が破壊され、発症することが明らかになってきました(自己免疫性1型糖尿病)。
従って、1型糖尿病は、生活習慣病でも先天性の病気でもありません。過去の何らかのウイルス感染が、免疫の誤作動のきっかけになっている場合が多いのですが、ウイルス感染は、とっくに治った後の出来事ですから、1型糖尿病が感染することはありません。
2型糖尿病ほど色濃い遺伝は関与しませんが、何らかのウィルスに感染しやすい、あるいは、感染後に免疫の誤作動を起こしやすい遺伝的体質はあるようです。欧米のデータでは、1型糖尿病と診断された小児の10~12%のみに、1型糖尿病の一親等の血縁者がいるとされており、一卵性双生児の1型糖尿病同時発生率は、50%以下です。
1型糖尿病の頻度は、日本人では、欧米の白人に比べて明らかに低く、10~20分の一と言われています。例えば日本の小児の1型糖尿病は、ノルウェーの20分の1、米国の約15分の1です。
1型糖尿病は一般的には、インスリンが出ていないことと、1型糖尿病に特徴的な自己抗体(抗GAD抗体など)を血液検査で確認して診断を行います。
1型糖尿病は、一般にはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊れてしまうので、インスリン注射をしなければ生きていけない病態です。
しかし、抗GAD抗体が陽性で1型糖尿病と診断されても、インスリン分泌能力が残っている場合があります。
今後数年以内にインスリン分泌能が低下し、インスリン依存状態に移行する可能性が高いのですが、このタイプを「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と呼びます。
なお、自己免疫異常の明らかでない1型糖尿病も存在します(特発性1型糖尿病)。


糖質制限食は、1型糖尿病に効果があります。
1型糖尿病では、
例えば超速効型インスリンの量を1/3以下に減らすことが可能になります。


2)2型糖尿病(従来のNIDDMとほぼ一致)
インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の二つの要因により、結果としてインスリン作用不足となり、発症する糖尿病です。
インスリン抵抗性とは、肥満などの要因によりインスリンの効きが悪くなることです。例えば、今までは5μU/ml ていどの量のインスリンで筋肉細胞が血糖値を取り込めていたのが、抵抗性があると、10とか20μU/mlの量がないと取り込めなくなるのです。
欧米では、インスリン抵抗性が高い状態の方が主たる原因として多いのですが、日本では、膵臓のインスリン分泌能低下の方が重要な原因となります。これは、インスリン分泌能力が、日本人やアジア人は、欧米白人より弱いことによります。
遺伝的因子と生活習慣が、からみあって発症する生活習慣病です。
日本の糖尿病の95%以上は、2型糖尿病です。
欧米人に比べ、日本人は肥満者も少ないのに 2型糖尿病が多いのは、日本人が、民族的に2型糖尿病になりやすい体質(遺伝的素因)を 持っているためと考えられます。
遺伝的素因が日本人と同じ日系2世米国人で、 日本人よりも2~3倍、米国の白人と比べると数倍以上の差で糖尿病が多いといわれています。
親や肉親が糖尿病だと、糖尿病の家族歴がない人に比べて 糖尿病になりやすいことは間違いありません。しかし、遺伝するのは糖尿病そのものではなく、「糖尿病になりやすい体質」です。 この体質を持った人に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレス、など様々な環境因子が加わってはじめて2型糖尿病が発症すると考えられています。
私、江部康二のように、、両親が2型糖尿病だったら40~50%の確率で2型糖尿病を発症します。

*上記は医学界の共通認識ですが、食べ過ぎに関しては、
私は特に精製された炭水化物の頻回・過剰摂取が問題と考えています。
ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 2004 第10版  
日本語版監修 細谷憲政 医歯薬出版(英国の栄養学の権威ある教科書)
にも同様の見解が述べてあります。(75ページ)
なお江部康二は糖質を摂取すれば糖尿人、も糖質制限食を実践する限りは正常人です。

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糖質制限食は、2型糖尿病に効果があります。
2型糖尿病ではインスリン・経口薬の減量、場合により離脱が可能です。


3)その他の特定機序、疾患によるもの
 ホルモン関連の病気、肝臓病、感染症、ステロイド薬内服・・・
 膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常、
 インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常

*この範疇の糖尿病は原疾患の治療や薬物の減量・離脱などが、根本的治療に繋がることが多いのですが、高血糖に関しては、糖質制限食が有効です。


4)妊娠糖尿病 (GDM)
妊娠糖尿病の新診断基準が、日本糖尿病学会から、2010年7月1日発効で、
発表されました。この基準は、国際的にも同様です。

75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。

1.空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)

日本の血糖値の単位は、mg/dlです。欧米はmmol/lです。
mmol/lのデータに18をかけると、mg/dlのデータになります。

<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満、(5.56mmol/l未満)
食後1時間値140mg/dl未満、(7.78mmol/l未満)
食後2時間血糖値120mg/dl未満、(6.67mmol/l未満)
HbA1c5.8%未満、JDS値、(NGSP値の欧米では6.2%未満)

*妊娠糖尿病にも糖質制限食が有効です。



■糖尿病の状態の表現

1)インスリン依存状態
2)インスリン非依存状態

普通は、1型糖尿病はインスリン依存状態で、2型糖尿病はインスリン非依存状態かなと、誰でも思いますよね。
でも、事はそれほどシンプルではありません。
例えば1型糖尿病でも、数年かけてゆっくり膵臓のβ細胞が破壊されるタイプであれば、発症後数年は、インスリン非依存状態でコントロールできることもあるわけです。まあ、さすがに10年以上、非依存状態というのはやや困難とは思いますが・・・。
一方、2型糖尿病でも、糖毒状態で悪循環していれば、徐々に膵臓のβ細胞が壊れていくわけですから、10年・20年・30年レベルの年期の入った糖尿病だったら、自前のインスリン分泌がほとんどない患者さんもでてきます。
こうなると2型糖尿病でも、インスリン依存状態となるわけです。
また、2型糖尿病の人が感染症、外科的処置などによりインスリン需要が増大する場合も、インスリン注射を必要としますので、一時的なインスリン依存状態といえます。