立教大学名誉教授の皆川達夫氏が執筆した『洋楽渡来考 ーキリシタン音楽の栄光と挫折』の音源・映像版。原著は現在版元品切中だが、キリシタン時代の典礼音楽に関して明らかにしていった名著。1605年に長崎で刊行された『サクラメンタ提要』、聖務日課のラテン語歌詞『耶蘇教写経』、現在まで歌い継がれている長崎県生月島の『オラショ』、この三つが現代に当時の讃美歌を伝えているが、それを音楽として、そして生月のものは音源と映像で収録している。いわば宣教師たちが教え、中世日本人が歌い、現代まで伝承されてきたものを今聴くことができる貴重な資料。

 価格もそれなりなので簡単には買えないのですが、ポイントで無料で手に入りました。こつこつ地道に着実に貯めてみるのも良いものです。


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 別件で資料を探している際に、私の学生時代の恩師の本を見つけました。ただ、二年前に亡くなっておられるそうで、驚きと共に少し寂しく思いました。正倉院文書研究の第一人者と言える皆川完一先生から受けた続日本紀と律令、古文書学に関する学びのおかげで今の自分があると思っています。実直な先生でしたので講義は真剣勝負でした。私は途中で考古に転身したので先生の分野の論文を書かずじまいでしたのでもったいないことをしました。

 まあ、ちょっと寂しいですね。