あれはまだ自分が社会人だった頃。
僕の所属する課が、会社から全員ハワイ旅行のプレゼントをされました。
洋楽だけでなく、アメリカン・カルチャー大好きな自分にとって、
ハワイはロスやニューヨークに並ぶ聖地のような場所でした。
このREMの「Bang and Blame」を聴くと、
この時のハワイの記憶が蘇るのです。
この曲が入った「モンスター」というアルバムは、
思わずTシャツにしたくなる不気味かわいいトラ?のイラストがジャケットでした。
先行したシングルはいわゆるグランジ・オルタナナンバーで、
REMがアルバムごとオルタナに挑戦!?
みたいな触れ込みでしたが、いわゆるグランジのディストーションが、
どことなく冷めた感触と絡み合う絶妙なバランスが
REMならではのオリジナルなオルタナ観でした。
さて「Bang and Blame」はどちらかというと静かな印象の曲ですが、
同時に深い悲しみを感じる曲なのです。
ハワイの部屋では先輩と一緒だったのですが、
自分が起きた時、遅かったので先輩はすでにどこかに行っていました。
きらきらと窓から入る光と、柔らかい潮騒の音があまりにも非現実な状況(社員旅行でハワイのベッドで寝てる)で、
それが不思議に「Bang and Blame」と溶け合って聴こえました。
疎外感や孤独感。でも同時に、優しく受け入れよう。
そんな気持ちになれる曲でした。
今でも「Bang and Blame」を聴くと、
あの時の情景と繊細な気持ちがふわり、ぽつねんと浮かんでくるのです。