日曜日。

 

少し疲れて、少し眠たいけれど、映画を観たいという欲望を盾に何とか踏ん張る、少し肌寒い日曜日。

 

 

先週に引き続きキェシロフスキの「トリコロール」三部作の真ん中、私の好きなジュリー・デルピーが出ている「トリコロール/白の愛」を観る。

 

ジュリー・デルピーが出てるということは前から認識してて、そういう意味でも楽しみにしてたんだけど、この真ん中の作品は主人公は男性で少しコメディタッチな異色作。

 

しかも夢破れてパリから古郷ポーランドへ舞い戻るさえない小男の美容師、しかも離婚を契機に帰っちゃうという「変化球」をかましてきた。

 

そういう意味でもキェシロフスキの出自がどう表れているかを想像しながら興味深く観ていたんだけど、展開がスリリングというか、それでいてどこか滑稽で楽しく、物語が軽快に転がっていく、なかなか楽しい逸品だった。

 

性的不能を理由に離婚され、どん底に落とされる冴えない男...もう何かさ、昔の自分と重なりまくってね、とはいっても性的不能で振られた訳でもないし、結婚してた訳でもないんだけどね...振られた男の悲哀にのっけから感情移入させられて、あとはもうノンストップでどん底から一気に這い上がって「復讐」を企てる、異形の成り上がり物語(?)にすっかりのめり込んだ。

 

クライマックスからラストへ向かう怒涛の展開にはまさしくキェシロフスキ独特の人間の業が迸り出てて、その良くも悪くも胸に突き刺さる余韻...改めて観るのが遅すぎた私のその罪の重さに苛まれる。

 

 

デルピーが主人公じゃないことに少しがっかりはしたものの、それでも作品そのものの面白さを十分堪能できたし、出番が少ないとはいえ若き日のデルピーのその幼さと妖しさが共存する魅力に今更ながらやられてしまった。

 

そのデルピーの存在感はこのどこかおかしみの物語にあって、男と女の艶めかしい関係性を語るという意味では強烈なアクセントとなっていて、ポーランド人のキェシロフスキがフランスを描くとこうなるのかという興味も含めて、その折衷する感じを理屈を抜きに肌で感じられたように思う。

 

 

余談だがそのキェシロフスキの代表作である「デカローグ」がBlu-ray化された...もうさ、欲しくて欲しくてたまんないんだけど、その値段の高い、高いハードルを貧乏人の私は逡巡し、いまだに越えられないでいる。

 

ああ、どうするんだ、俺。

 

 

 

まあそれはともかく、いよいよあと1本...来週の日曜日を楽しみに。