日曜日。
ようやくまともに映画を。
ていうのも、Amazonプライムビデオの中にいろんな「チャンネル」というものがあって、廉価で観られる映画が増えるシステムがあって、それでもこれまではさらに課金するなんて嫌だなと思って黙殺していたんだけど、ふとツイッターのいろんな方の意見というか「宣伝」文句にフラーっとつられて、ていうかね、ぶっちゃけ「トリコロール三部作」がみられるということで、月額390円というお手頃感にもうね、エイやッと「シネフィルWOWOWplus」というチャンネルに入っちゃいました。
ラインナップはフェリーニとかヌーヴェルヴァーグとかそのあたりの古い名作をメインに、ぶっちゃけ何とも中途半端な取り合わせなんだけど、それでもまずは2週間無料だし、これまでずーっと、ずーっと見なければ、観なければと思っていた「トリコロール三部作」があるのでね、まあこのまま色々観てみようと思っている。
ということで今日はその三部作の最初の作品、「トリコロール/青の愛」を観た。
クシシュトフ・キェシロフスキ...大昔、MXテレビが開局して間もないころだったと思うが、そのキェシロフスキの「デカローグ」を観た時に、何だかとんでもないものを観てしまったという衝撃があったんだけど、それでもぶっちゃけ何度も見返すということはなく、それこそ1話完結のテレビドラマ10本だからね、それぞれどういう作品だったかなんてほとんど覚えてなくて、ただその衝撃が残っているというだけで、私の中で半ば神格化してしまっていた監督さん。
過去のドキュメンタリーや短編などは全く観たことがなくて、ただただ「デカローグ」の印象のみなので、あれこれ語る資格もないし語れない。
その代表作である「トリコロール」三部作をこれまで30年近くほったらかしにしてたんだから、決してファンなんて言えない訳でね。
それでも「デカローグ」と「トリコロール」の間に作られた「ふたりのベロニカ」だとか、彼の遺稿を基にして作られた「美しき運命の傷跡」はかろうじて観ていたので、あとはそれこそ「トリコロール」を観られれば、その名を口にする資格は少しは生まれるのかなと。
とはいうもののもうね、ほったらかしにしていた期間が長すぎて、これもまた私にとって映画における後悔と恥、なのである。
1993年から94年にかけての3本だからね、その頃は私もまだ学生で、それこそ貪欲に映画やドラマ、小説などを貪ってた時期ではあるんだけど、感性というかセンスがなかったのか、その旬を逃したという意味でももう大罪だよね。
で、今の今までほったらかし...これもまた数多くある「実は観ていませんでした」のうちの3本。
...スイマセン、また前置きが長いっつうの。
「トリコロール/青の愛」...ジュリエット・ビノシュ主演の夫と娘を失った女性の再生、いや解放の物語。
キェシロフスキといえば...なんてことを語れないけれど、それでもこの作品に通底する、まさに映画らしい映画というか、映像でちゃんと語ることだとか、人間の業に抗う感じだとか、私の中にかすかに残っているキェシロフスキのタッチ、ああこういう感じだったなと。
ポイントは失った家族の存在を胸にとどめておくだけではなくて、ある意味忘れるというか、そこから自由になる、解放されることが描かれているということ。
忘れるというと冷徹な印象があるけれど、自分の人生をリセットし、ゼロからやり直すという意味での「忘却」が描かれているという意味では少し異色なのかも知れない。
若干、音の鳴らし方が仰々しい感じがあったりしたけれど、それでもセリフで語り過ぎず、映像に丁寧に小道具とその効用が織り込まれていることも含めて、まさに映画らしい映画といった印象。
物語そのものはこれまでいろいろ語られてきた、愛の喪失と再生の物語のありふれた一遍ではあるんだろうけど、それでも全く飽きさせないのは、やはりその映像の意味を探らせようとする巧みさと、ジュリエット・ビノシュの神々しさだ。
若い頃にレオス・カラックスの「ポンヌフの恋人」と「汚れた血」を観て知った女優さんだと記憶していて、何となくそのイメージが残っていたんだけど、この作品のビノシュはまあとにかく神々しい。
女の業というか性が迸り出てて、決して清らかなキャラクターではないんだけど、ショートカットの似合う丸顔がまあとにかくきれいで、まさに目で語る演技に引き込まれてしまった。
いまだに第一線で活躍する女優さん...これまでも何本かしか観たことがなかったので、これからいろいろ追いかけたいと思う。
いやー、それにしてもようやく観られたことの満足感も含めて、キェシロフスキ、やっぱりすごい監督さんなのかもといういい予感が...
可及的速やかに残り2作品を観るべし、だな。
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トリコロール/赤の愛(字幕版)
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ふたりのベロニカ(字幕版)
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