日曜日。


 


 

いい陽気ですね。


 

今の季節が一番この「いい陽気」という言葉がにあう、そんな気がしますね。

 

ホントならこういういい日はね、どこかに出かけるなりできればいいんだろうけどね、私はまだまだ、自虐的過ぎるかもしれないけど、そんな「癒し」に値する人間ではない、そう戒めつつ、いつものウチに籠った日曜日。

 

 

とはいうものの、そろそろ「創作テレビドラマ大賞」に向けて、書きたいもの、書こうとしているものが徐々に頭の中に形作られ始めてきたので、そちらに傾注しないとというのもあるんだけどね。

 

 

まあでもいいじゃん、日曜日は映画を観よう、とりあえずその頭をニュートラルにするという意味でも、いつものにち10、いつもの映画。

 

 

今日はテレンス・マリック監督の2011年の作品、カンヌのパルムドールをゲットした「ツリー・オブ・ライフ」をチョイス。

 

 

先月だったか、ジェーン・スー様がラジオでこの作品の話題を取り上げていたというのが、どこか胸の奥に引っかかっていたので、今日はこの作品を。

 

出演はブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステインというなかなか豪華な取り合わせ。

 

 

 

マリックといえば、やはり私の中では1999年に観た「シン・レッド・ライン」かな。

 

 

当時旧ワーナー・マイカル・シネマズ海老名のTHXシアター、7番スクリーンで“EPISODE I”を観るということにすべてをかけていて、その前哨戦として同じ海老名で「シン・レッド・ライン」を観ることで「肩慣らし」しようと試みた。

 

ただ残念ながら、その「シン・レッド・ライン」はTHXシアターでは観られなくて、その作品そのものの独特なたたずまいに完全に置いてきぼりを食らった記憶ばかり、改めて海老名に遠征して“EPISODE I”はぶっつけ本番、その「お祭り」に心の底からのめり込めない自分を否定したくてさまざまな劇場を行脚したんだったんだよな...ああ、懐かしい。

 

 

今にして思うと、我ながらその根拠の薄弱な、盲目的なまでの執着が情けないやら、いじらしいやら。

 

 

まあその頃はとにかく劇場にも割と足を運んでいた「全盛期」だったけど、この伝説の監督マリックよりも、スピルバーグの「プライベート・ライアン」やアカデミー作品賞の「恋におちたシェイクスピア」なんかに夢中になっていた。

 

 

そんなことを思い出した...いかん、また思い出散歩しちゃった。

 

 

 

という訳で今日は「ツリー・オブ・ライフ」。

 

 

1950年代のアメリカの家族の物語を二重、三重、更にはキューブリックの「2001年宇宙の旅」かと見紛うほどの宇宙や自然の壮大なる歴史を含めた多重の回想を巧みに織り込んで、それこそマリックならではの映像美で描かれたお話。

 

 

古きよきアメリカの厳格な父(ブラッド・ピット)を中心とした家族の営みを最初は淡々と、徐々に長男との軋轢を積み重ね、まさに家族の歴史が描かれているのだが、どうも何と表現すればいいのか、展開が早いのか、緩いのか、映像が静かなのか、激しいのか...吸い込まれるようでもあり、突き放されるようでもあり...キリスト教のヨブ記も出てきたりするもんだから、うーん、私にはいささか高尚過ぎたようだ。

 

 

でも難しいなりにも全体を包む、その映像の美しさからくる求心力というか、父と息子の関係性の変化の過程は重く、辛いにもかかわらず、目をそらさずにはいられないというか。

 

 

明確な、いわゆるハリウッド式構成法ではないにせよ、その行ったり来たりに回想も決して難解ではなく、ちゃんと映像で描くという映画の基本を改めて思い知らされるし、のらりくらりに見えて、実はちゃんとキャラクターの「変化」を積み重ねているという意味では、ヒット作にはなり得ないけれど、実に映画らしい映画と言えるかも知れない。

 

 

ラストの過去と未来の「融合」も、一見分りにくいと思わせるが、観ているうちに説得力にあふれる。

 

 

オープニングの悲劇の結末を曖昧にした、その余韻も含めて、なるほどテレンス・マリック、やっぱりすごい人なのかも。

 

 

あとは撮影監督のエマニュエル・ルベツキという人もすごいということなのかな。

 

調べてみると、なるほど最近の様々な名作、話題作にその名を確認することができた。

 

 

 

まあでも、家族の物語の一形態という意味では、参考になったといえばなった、の、かな。

 

 

今回私が書こうとしているものも、どうしてもその家族という「呪縛」から逃れられないんだよね。

 

 

そういう意味では、まあ観てよかった、そう思い込むことにしよう。

 

 

 

 

さて、〆切がどんどん私を追い込む。

 

 

自分のために、広島にいる年老いた両親のために、もうひと踏ん張りだ。

 

 

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