映画を見た。
「青幻記 遠い日の母は美しく」という1973年の日本映画。

 

先日俳優の田村高廣さんが亡くなった。
で、その時NHKがいくつかの作品をBS2で放送し、その中に含まれていたこの「青幻記 遠い日の母は美しく」。
その時は何となくやり過ごしたのだが、改めてBSハイビジョンで放送されていたので、それなら...ということで録画。

奄美の沖永良部島を舞台に、田村さん扮する主人公の少年時代の母の面影を回想形式で綴る作品。
全体的に島の美しさ、島の生活風景の描写を表に出しつつ、母親と少年の絆が淡々と描かれます。
監督の成島東一郎という人はもともとカメラマンだそうで、映像の美しさで物語を静かに綴る、という趣でした。
母親役の賀来敦子という女優さん、全く知らなかったのですが、静かな中に力強さを感じさせる方で、お母さんを熱演してました。
ひとつ不思議だったのがその母親の台詞回し。
例えば珊瑚礁に取り残されて、息子に人を呼びにやろうとするシーン。
古い映画ということもあるのか、私にはどうも「説明ゼリフ」に聞こえた。
ただその「説明ゼリフ」がどういう訳かそれなりに自然に聞こえたのも事実で、それがとても新鮮だった。
この賀来敦子という女優さんのなせる業か、それとも...?

ありきたりな感想だが、自分の母親のことをふと思ったりして、ちょっと切ない気持ちになる。
古い映画ですが、シネマスコープの画面がハイビジョンに映えて、それだけでもとてもきれいななかなかいい映画でした。