この物語は、

私が鍼灸師として訪問施術をしていた頃に

実際に体験した実話です

※個人情報などは、意図的に変えています

 

 

霊能者なおこの事件ファイル12~2人の霊能者~①

霊能者なおこの事件ファイル12~2人の霊能者~②

の続きです

 

 

 

 

 

オレンジの満月の光を浴びながら

すっかり暗くなった道を

原付きで走ります

 

 

 

私は大井さんの言葉に感じた違和感を

何度も反芻していました

 

 

 

大井さんは、

藤井さんを神さまだと言った

 

 

 

自分で決められないことを

何でも決めてくれる

神さまのような存在だと

 

 

 

本当にそれが

幸せなんだろうか

 

 

 

神さまって

そんな何でも決めてくれる

存在なんだろうか

 

 

 

私の感覚は「違う」と言っている

そんな気がしました

 

 

 

辛いときや悲しい時に語りかける

私にとっての

大きな大きな存在は

 

 

 

「これはだめだ」

「こうしなさい」

とは言わずに

 

 

 

じっとそこにいて、私がどんな選択をしても

見守ってくれている・・・

 

 

 

そんな風に私は

感じていたのです

 

 

 

でもそれは

あくまでも私の感覚であって

大井さんや藤井さんは違う感覚なんだ

 

 

自分で選ばない

自分で決めない事を

 

 

それって幸せなのかな?

 

 

 

そう感じるのも、私がそう思うだけで

違う価値観の人はたくさんいる

 

 

 

私が口をだすことではないし

出せることでもないんだな

 

 

 

そこまで考えると

私は少し落ち着いてきました

 

 

 

 

 

~次のご予約の日~

 

 

 

 

私は戴き物の紅茶を持って

大井さんの家に向かいました

 

 

 

大井さんが

紅茶好きなことを知っていたし

「美味しい!」と微笑む

大井さんの顔が見たかったからです

 

 

 

 

いつものようにガレージに原付きを駐めて

玄関のベルを鳴らします

 

 

出迎えてくれた大井さんに

紅茶を差し出すと

 

 

 

少し引きつった表情で彼女は言いました

 

 

 

「先生、私はもう紅茶は飲めないの。

縁起が悪いらしいから、無理なの。」

 

 

 

私は驚いたのと、残念な気持ちから

どうして・・・?と言いかけましたが

 

 

大井さんが、とても申し訳無さそうな顔で

うつむいているのを見て我に返り

 

 

 

「OKです!じゃあ持って帰りますね。」

 

 

と、わざと明るく言いました

 

 

 

施術中の大井さんは

すごい勢いでお喋りを始めるか

寝てしまわれるかのどちらかがなのですが

 

 

この日は少し様子が違いました

 

 

 

お喋りをするでもなく

眠ることもない・・・

 

 

そんな様子に、

私も少し緊張感を感じながら

黙って施術を続けました

 

 

 

 

「では、次は仰向けになりましょうか。」

 

とお声掛けしたタイミングで

大井さんは私に向き直って言いました

 

 

 

「先生、これからは

他の患者さんの家に

行かないでほしいの」

 

 

 

 

私は驚いて、返事をすることが出来ず

しばらく無言のまま

大井さんと向き合っていました

 

 

 

 

・・・続く
 
 
 
 
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