平成17年の不動産登記法の改正により、

従来の『登記済権利証書』の交付が廃止になり、

それに替わる『登記識別情報通知(12桁の符号による権利情報)』

交付されることになりました。

 

これは、従来、書面により行っていた登記申請を

インターネットを利用したオンライン申請システムに移行するための一環です。

 
このような新しい登記制度のもとで、

不動産の売買取引をする時、次のような問題が発生する可能性が考えられます。

個人的には、これは欠陥だと思っています。
 
先程も言いましたように、

従来の取引では、司法書士が、事前に『登記済権利証書』の内容を確認し、

取引時に再度、その現物を確認して、取引の決済を行っていました。

 

つまり目の前に権利証という「物」があり、
それが確実に取引の相手方に手渡されることにより、

決済が成立していたのです。

(確かに、偽造等はありましたが。)
 
ところが、

新制度の『登記識別情報通知』の場合、

交付後、権利者の意思でいつでも効力を失効させることができることになっていますので、

取引当日、効力が失効されていないかどうかの確認、

つまり、管轄の法務局において、

登記識別情報の有効証明取得が必要となります。

 

ただ、問題は有効証明書を取得しても決済までのわずかな時間帯に

効力を失効されてしまう可能性があるということです。

 

これを防ぐために、法務局で有効証明書を取得した後も、

それを取引現場へ持ってくるまでの間、本人と担当の司法書士が行動をともにする

ことにもなります。

 

つまり売主に効力を失効させる機会を与えないために、
担当司法書士が本人にはりついているのです。

 
しかし、これでもまだ本当の問題解決にはなっていないのです。


何故でしょうか?

それは、本人が代理人に失効の手続きをさせることができるからです。

 

私は、オンライン申請制度を急ぐあまり、このような改悪になったと思っています。 

正に、机上の理論で現場が分かっていない人が作った制度だと思っています。
 
今日の不動産取引現場では、

新法施行によるこのような取引上の新たな欠陥が指摘されているのです。

このような制度の下では、司法書士の責任があまりにも重過ぎると感じるのは

私だけではないと思います。

  

世の中には、悪い人もたくさんいます。

「お上」は、これをどうお考えなんでしょうか?

 

読者の皆さんは、いろんなことを勉強してください。