~K~
────あのバーベキューの翌週の月曜日、支店のみんなに、ご迷惑おかけしました…って、1人づつに可愛くラッピングした手作りクッキーを渡しながら謝ってまわったジュリさん…
男勝りなのに、そのちょっとした気遣いといい、手作りクッキーといい、……なんていい女なんだ…!!って感動した俺なんだけど……
相変わらず、あの日以外は、明るくてサバサバしたジュリさんなんだけど……
あの日……とにかく酔っちゃって、腰も立たないし、意識もあるのか、ないのか、
…そのうち気持ち悪いって言い出すから
仕方なく、支店が違うし迷惑を承知でユノさんを呼びに行った
「………ジュリ?……たてるか?」
声をかけたユノさんを振り返ったジュリさんの瞳が
……嬉しそうな、切なさそうな、何とも言えない……求めるような瞳
そのまま、ジュリさんをお願いして……
俺はチャンミナを送ることになったんだけど……これまた、チャンミナも何かおかしくて、やたら陽気に喋っていたと思ったら、急に押し黙って人の話も全く聞いてなかったり……
ただ1人になりたくなさそうだったから、
夕飯だけ一緒してマンションの前まで送ったんだけど…
何となく心配で、…翌日の夜、電話したら、なんとユノさんが出て、今、シャワーだから、って、大丈夫だからもう電話はいいよ、とか、伝えておくから、とか、
さんざんお邪魔っぽく追い払われた感じで、相変わらず?なのか?
ジュリさんを送ってくれたお礼を言う前にさっさと切られちゃったし………
あれ以来チャンミナから何の連絡もないから…たぶん、伝わってないよな……あいつ……結構そういうとこ、律義だし
まぁ、そんなこんなで無事バーベキューも終わり、今日は実行委員の打ち上げ
組合から支店に話がいってるのか、今日は定時で帰っていいよ、って言われてるんだよなって、とりあえず今日の計算も合ったし、少しずつ片付け始めちゃおう…
通路を挟んで隣の席のジュリさんが、閉店後の営業室に鳴り響く電話にいち早く出て、丁寧に応対している……
………??途中、急にくだけた話し方になったジュリさん
ありがとう、とか、馬鹿じゃない?とか言ってて…突然、…キュヒョン?って俺の名前が……
一旦保留にした電話…目線で、出て…!って合図を送られた
「キュヒョン?……俺…ユノだけど…」
ユノさん????
どうやら、今日の打ち上げの店を教えて、って内容で………
「……そんなん、チャンミナに聞けばいいじゃないですか?」
「教えてくれねぇから、おまえに聞いてんだろ?」
チャンミナ…なんで???
「……すみません、…チャンミナが教えないなら、僕からもちょっと………」
スルッと僕から受話器を取り上げたジュリさん
「ユノ~~?
偵察なら付き合うよ…!介抱してくれたお礼…!…あっ…でもユノの奢りね!」
なんて、穏やかじゃない話をしてる
偵察って………???
「…うん、…うん…了解~~~!」
話はまとまったようで………電話を切った後、ジュリさんは僕をジッと見て
「キュヒョン~~!!
ぜっったい…!チャンミナに言うんじゃないよ~?」
って、いたずらっこのような笑顔で言ってきた──────