逢いたくて逢いたくて(32) | えりんぎのブログ







「ユノー!おせーぞ!!」って、チームの人達に引きずられるように連れて行かれたユノ。


……左から、ドンへさん、ヒチョルさん、シウォンさん、……よし、覚えた。


ユノのチームはヒョンジュンも加えて5人


……みんな、タイプは違うけど揃いもそろって格好良くて。
この5人が大学で歩いてたら、そりゃあ目立つよなー。
何度もすれ違ってるのに全く気づいてなかった僕にびっくりしたのも分かるよ。


中庭の端のベンチに座りながら、そんな事を考えていた僕に誰かが話しかけてきた。


「……チャンミン?」


「……えっ?」


男らしく整った端正な顔を優しく綻ばせたその人。

「ユノのバイト先の後輩で、ヒョンジュンの高校の同級生のチャンミン…だろ?」

えーっと……

「……シウォンさん?」

「当たりーー!」って、ニコッと笑う。


……チラッとユノを目の端で探す。
後輩っぽいチームの人達に囲まれてダンスの振り付けしたり、真剣に話してるのが見えた。


「あのさ、この後、学祭のナンバーの打合せ兼ねて軽く飲みに行って、その後、久しぶりにクラブへ行こっか、って話なんだよね。」

……それで、ユノは連れてっちゃうよ、ってこと?

「……いつものながれだと、そのままユノんちのマンションで泊まるんだけどさ。」

……ユノんちのマンション…って言葉にピクッと身体が反応した。

当然のように、バイトから僕んちの流れで、ユノんちが何処にあるのかも知らない。


本当に何も知らない自分に軽くへこんでいると、シウォンさんが僕の隣に座りながら、
「……チャンミンも一緒にどう?」
なんて言ってくる。


「え…っ!!……僕、ですか?」


突然の誘いにびっくりしていたところに、今度はヒョンジュン……。


「シウォンさんー!!なにしてんですか?ちょっと、ちょっと、チャンミンは勘弁してくださいよー!」


「なんで?誘うのにおまえの許可がいるわけ?」


「……そうじゃないけど…シウォンさんは危険なんだよな。」


「うるせっ!いいじゃん、…気に入ったんだから。」


「えーー!!…まじっすか?」


───当の本人をまるで無視して繰り広げられる会話を聞きながら……

ユノは僕のこと、鈍感、とか言ってたけど……そんな僕でも分かるくらい…今、僕って確実にモテ期?しかも、男限定とか……


そんな事考えてたら一気に脱力しちゃって、もう勝手にどうぞ…って、他人事みたいに2人の会話の成り行きを見てた。


……どうやら、やっぱり僕を連れて行く、って方向に話は向かっていて。

それは勝手に決められても……

「あ、あのー。…ユノに聞いてみないと……。」
ちょっとだけ、口を挟んだ。

「あっ?…ユノの了解がいんの?」

シウォンさんが眉間に皺を寄せて聞いてくるけど。



「当たり前だろ?」

───突然かけられた声に………ユノ!

腕を組んで真剣な表情のまま、ベンチに座る僕たち3人を見下ろして……


「おまえらさ、勝手にチャンミナを誘うなよ?まず、俺に聞け!俺に!…分かった?」

自信満々に言い切るユノにさすがの2人も結構たじたじで…僕も一気に顔が赤くなるのが分かって、どこへ視線を向けていいのか……俯くことしか出来なくて。


「………な、なんだよ。ユノ…チャンミンはおまえの物じゃねぇだろ?」

何とかシウォンさんが反撃にでるけど…


「……わりぃな!チャンミナはさ、俺のもんなんだよ!」

………わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

ユノが言い切る前に急いでユノの腕を掴み少し離れたところまで引っ張っていった。


「ユ、ユノ……そういう事、言わない約束でしょ。…僕、恥ずかしくて二度とユノの練習、見に来れなくなります。」
って言えば、やっぱり小難しい顔をしたユノが、

「……はぁ、…おまえさ、まじで狙われてんの、分かる?…俺はそれをただ見てればいいの?」
って、ため息混じりに切なそうな瞳で見つめるから。

……はぁぁぁ……ユノこそ、僕がその瞳に弱いって分かっててやってるよね。昨日から連発してるよね。…ため息つきたいのはこっちだよ。

ユノの腰に腕を回して、手でトントンと叩いた。

───ユノだけが特別なんだよ。って、僕の気持ち……届いたかな?