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やましたひでこ公認
断捨離®トレーナーの
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20代後半で初めてパリに行った。
それは、新婚旅行だった。
オランダから列車で
ベルギー経由でフランス入りし、
パリ北駅に着くと
インフォメーションで
宿を探した。
係の人の計らいで、
マダムが”日本びいき”という、
ホテルモンタナという名のホテルを
紹介された。
パリ北駅から歩いてほど近い距離に、
ホテルモンタナはあった。
こじんまりとしたホテルで、
細い急な階段が
私たちを待ち受けていた。
お土産をたんまり買って帰る
予定の私たちは
大型のスーツケースを
自力で持ち上げて、その階段を
上がらなければならなかった。
部屋には、
ユニークな名前が付けられていた。
（それが、世界の各都市の名前だったか、
日本語の名前だったかは忘れてしまった。）
部屋の窓から、
向かいのパティスリー（お菓子屋さん）
が見えた。
朝食の情景がいまでも忘れられない。
うす暗い食堂で、
浅黒い肌の少女が
私たちの給仕をしてくれた。
朝ごはんは、決まって、
クロワッサンと一切れのバゲット。
それに、カフェオレだった。
そのクロワッサンが
あまりに美味しいので、
私はその少女に、
半ばダメ元ではあったが、
バゲットの代わりに、
クロワッサンを二つにしてくれないか？
と聞いてみた。
少女は、きっぱりと、
「No」と言った。
いや、首を横に振っただけだった
かもしれない。
が、態度は毅然としていた。
そんな旅の小さな一コマほど、
よく覚えているものである。
私はいつも豆乳を飲んでいるが
昨日は無性にカフェオレが飲みたくなり
珍しく、牛乳を買ってきた。
そして、
近所のパン屋さんが開くのを待って
クロワッサンを買った。
何が深く記憶に刻まれるかは、
後になってみなければ分からない。
けれど、
自分の魂に必要なことは、
写真がなくてもちゃんと残るようだ。
私は、写真の大断捨離をして、
特別な数十枚以外は持っていないが
それでも、日々困ることは全くない。
逆に、
写真を見て思い出すのではなく、
写真を見ずとも思い出すもの。
それこそが、
自分にとって大切な思い出なのかも
しれないと思う。
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