秋になると山々が赤や黄色に染まり、思わず写真を撮りたくなる季節がやってきます。
でも、なぜ葉っぱはあんなに鮮やかに色づくのでしょうか?
実は「紫外線」が、その美しさに大きく関わっているんです。
そもそも紅葉はなぜ起こるの?
春から夏にかけて、葉っぱは「光合成」をするためにたくさんの葉緑素(クロロフィル)を持っています。
葉緑素は光を吸収してエネルギーを作り出しますが、秋になると日が短くなり、気温も下がって光合成が減っていきます。
その結果、葉の中の葉緑素が分解され、普段は隠れていた黄色(カロテノイド)や赤色(アントシアニン)の色素が見えるようになるのです。
紫外線が紅葉を鮮やかにする?
秋になると太陽の位置が低くなり、気温は下がりますが、実は紫外線の量はまだ意外と多いのです。
この紫外線を浴びることで、葉の中では「アントシアニン」という赤い色素が作られやすくなります。
つまり、紫外線は赤い紅葉をより鮮やかにするスイッチのような存在なんです。
アントシアニンは、紫外線から葉を守る「日焼け止め」のような働きもあります。
植物は自分の身を守るために赤くなっている、というわけです。
気温とのバランスも重要!
紫外線だけでなく、紅葉には気温も大切です。
特に「昼は暖かく、夜は冷える」ような気候が、最も美しい紅葉を作り出します。
• 昼間:紫外線を浴びてアントシアニンが作られる
• 夜間:冷え込むことでアントシアニンが分解されにくくなる
このリズムがあると、葉はより深く鮮やかな赤に染まります。
逆に、昼夜の温度差が少ない年や、曇りや雨が多く紫外線が弱い年は、紅葉がぼんやりした色になりやすいのです。
紅葉は自然が作る「光と温度の芸術」
紅葉の美しさは、気温や天気、そして紫外線という自然のバランスが作り出す奇跡のアートです。
秋晴れの日に真っ赤に染まった山を見かけたら、
「この色は紫外線の力も関係してるんだな」と思い出してみてください。
自然の仕組みを知ると、いつもの紅葉がもっと特別に見えてくるはずです 🍁
参考文献:
日本植物生理学会(2020)「植物の色素と光環境」/環境省(2019)「紫外線環境と植物への影響」/
Lee & Gould (2002) BioScience 52(11), 963–970 ほか
