自国に対する聞き障りな内容に対して、いちいち「反日」と連呼している人たちへ


是非ともご視聴下さい。







<動画説明>

日本で報道される、韓国のいわゆる「反日運動」。
その姿は本当なのか。
ソウル在住16年の言語心理学者をお招きして
ジャーナリストの安田浩一さんがお話を伺います。
また、番組冒頭では、国連の人種差別撤廃委員会の
対日審査の模様を報告します。

<出演>
吉方べき(よしかた・べき)
ソウル在住16年の言語心理学者。韓国・漢陽サイバー大学講師。
群馬大学医学部中退。1999年からソウル在住。
ソウル大学で認知・言語心理学を研究しつつ
大学やサムスン電子人材開発院・医療機関などで教鞭を執る。
2005年、朝鮮日報日本語版立ち上げに参画(~08年)。
翻訳・通訳を通じた日韓の架橋的活動も多い。2児の父。
ツイッター:https://twitter.com/tabisaki/
ブログ:http://tabisaki.tumblr.com/

安田浩一(やすだ・こういち)
ジャーナリスト
1964年静岡県生まれ。週刊誌記者を経て、フリーライターに。
外国人労働者問題などを取材。
代表作、『ネットと愛国』(講談社)では、
2012年度の講談社ノンフィクション賞と
日本ジャーナリスト会議賞をW受賞。
近著に『ヘイトスピーチとネット右翼』(共著・オークラ出版)、
『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』(共著・三一書房 )がある。




動画を見て思ったのは、一言で申しますと韓国の教育というものは極めて国際的で先進的・現実的であると同時に、時代に合わせた流動性を持ち合わせたものであり、それが特に顕著にうかがえたのが小学校から始まる学校教育にての『ウリナラ』という教科書を筆頭に「外国人」に対する教育だとか、同じ民族を共有する北朝鮮に対する統一を見据えた融和的教育であったり、隣国に対する印象、これは特に日本に注目がいくと思いますが、決して「反日」を煽るものではなくむしろ肯定的にとらえたもので、素朴な意味で私も驚かされました。


また中高の歴史教科書に移っていくと、豊臣秀吉の朝鮮侵略やまたそれに付随する形で過去における「中国からの侵略」の事実も触れており、ネトウヨやその思想に共感する人々が盛んに唱える「日本のみが絶対悪のバリバリの反日教育」というものは全くなく、極めて客観的かつ整ったものであるということです。


そして近代の朝鮮植民地時代における同国の現状につきましても、科学的なデータに基づく記述で「産米増殖計画」による朝鮮からのコメの収奪や、朝鮮の「植民地化における近代化」にもしっかり触れられており、インフラ整備などを筆頭にした記述も存在しております。しかしこれは、主に日本人入植者や一部の特権的朝鮮人(韓国人)による使用物であったとされ、これは日本の歴史学者も認める事実であり、ブロック経済に基づく植民地収奪論の総合的な体系から見ても齟齬がないものです。何より大事なことは、文字の記述のみならず数字のデータとして着実に示されている点です。


これ自体、ネトウヨが騒ぐような「感情だけの盲目的な反日教育」とは一線を画すものだと言えます。



そして最も重要なものが歴史教科書の最後にあり、それは「女性・若者・老人・障害者・外国人」などといった「社会的弱者」を尊重すること、それは即ち「他者・他の文化・差別のない社会をめざす」といった人権教育に繋がっていて、歴史の長い実例と照らし合わせながらリアルにそれを「追体験する」というプログラムが組まれていることです。


本当の意味での「グローバル化」(世界化)、それは各地域の人たちの多様な生活を尊重して保護できるとき、それが真の意味で成就されるだろうと歴史以外の教科書でも語られています。



結論として、現状における国家間との利害関係による立場の相違は当然あるわけであって、それをいたずらに煽ったり、民族そのものへの憎悪に向けるといったやり方は根本的に間違っております。昨今の日本社会における右傾化や一部ネットで持て囃されそれが社会にまで噴出している「反日」の問題にしろ、それ自体が何なのであるのか、今一度各人が問い直すべきだと思います。


現実を知りもしないで、さもわかったかのように「反日」を唱え他者のレッテル付けて言論を封殺する。橋本大阪市長との「対談」にて桜井(高田)誠が言ったような、韓国全体による「日本へのヘイトスピーチ」などというふざけた言説を流布すること自体も言語道断です。

実際の自分たちの問題を棚に上げて、社会的マイノリティへのヘイトスピーチやヘイトクライムの迫害行為をたのしむ愚か者どもへの掣肘にも、彼らの後進性や卑怯さを一般の人々で共有し然るべき手段を講じていくためにも、韓国への正しい理解は必須ですし何より長期滞在を経て現地で暮らすのが何よりの「啓蒙手段」かと思います。


「ネット」を通さず、己に備わっている五感や精神を使って、しっかりとした現地の「風」というものを理解することは大切なことだと思います。



※追記事項

今回ご紹介した吉方べきさんの動画の続編として、『20141027 のりこえねっとTV 韓国の「反日教育」は本当か(中・高校編)  吉方べき×安田浩一』があります。




その中で韓国が中高教育の新教材として、『東アジア史』という地域史の教科書が出ていますが、表紙の『古地図』はモンゴル(大元国)時代のもので、名称は『混一疆理歴代国都之図』(こんいつきょうりれきだいこくとのず)です。これ自体はヨーロッパまで含む世界地図であり「阿魯尼阿」(アルマニア=ドイツ)、「法里昔」(パリス=パリ〈フランス〉)が記述され、他にもフラグ汗が収めていたアゼルバイシャン地方「麻那哈」(マラーガ)、「撤瓦刺渓」(ダブリーズ)、中東においては「八合打」(バグダード)や「馬喝」(マッカ=メッカ)、東アフリカの「麻哈苔采」(モガディシオ)などがあります。時代的には、四種の写本に基づき各種データから導き出した年代はおよそ1313~1318年ごろ(下限)、また十三世紀末から十四世紀になって地中海域に勢力を広げたアラゴン連合王国の姿が推知されることなどから、上限は1290年代以前には遡らないことが明らかになりました。


ゆえに、吉方さんがおっしゃられた『韓国の古地図』による「日本をできるだけ小さく見たかった願望」は誤りであり、この地図は大モンゴル国(大元帝国)によって編纂された当時最先端の世界地図です。いや、正確にいうと韓国の古地図であることは間違いなのですが、それが韓国独自の願望によって作られたものではないということです。


また、本地図以外にも『カタルーニャ地図』(〈本名〉マッパエ・ムンディ〈英〉カタラン・アトラス)が存在していて、主に西の地方で使われておりました。



http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/75/KangnidoMap.jpg/350px-KangnidoMap.jpg(『混一疆理歴代国都之図』)



〈参考文献〉

・『興亡の世界史09 モンゴル帝国と長いその後』 杉山正明 著 講談社