【放談】少なくとも”奇跡”という表現ではないと思う勝利。日本五輪代表。 | E.P & E.F.L

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 日本五輪代表が、スペイン五輪代表を1-0で撃破したことで、メディアは、『大金星』『大番狂わせ』『奇跡』などと、メディアは、一日は大賑わいでしたが、私個人的な見解としては、少なくとも『奇跡』という言葉は当てはまらないだろうよ、と思います。


 たとえば、同じく五輪での、ブラジル五輪代表を破った『マイアミの奇跡』は、ブラジルに数えられないくらいの決定機を作られ、ギリギリのところで凌ぎ、ブラジルの明らかな連携ミスからの日本の唯一の決定機を得点に結びつけ、最後まで凌ぎ切った。

 戦前の予想も、試合内容もブラジルが圧倒的でした。
 それでも、たった1回のチャンスをモノにして日本が勝利したからこそ、『奇跡』という表現は当てはまると思います。


 ただ、今回のスペイン撃破を同様の視点で考えれば、『グラスゴーの奇跡』と呼ぶのは、ちょっと違和感を感じますね。

 予想通りポゼッションではスペインに圧倒されましたが(スペイン65%、日本35%)、決定機の数からいえば、日本の方が多かったんじゃないでしょうかね。
 シュート数も日本がスペインを上回りましたからねえ。

 スペインが、初戦ということもあるのか、パス回しはさすがと思わせる部分があったものの、ゴール前近くからの変化が少なくて一本調子だった印象があって、日本は守りきれましたよね。

 2列目からの飛び出しに対しても、日本は十分にケアしていて、スカウティングもしっかりしていて、その攻撃も頭に入っていたと思いますね。

 前評判を覆したといった部分で、『大金星』『大番狂わせ』は表現できると思いますが、これに加えて、内容的にも圧倒的不利であって、はじめて『奇跡』という言葉が閊えるのではないのかなと。


 少なくとも、『マイアミの奇跡』よりも、『グラスゴーの奇跡』の方が奇跡的な要素は少ないと思います。

 みなさんも感じていることと思いますが・・・。

 ちなみに、スペイン国内では、『グラスゴーの屈辱』に異論はないようですよ。笑)



 また、外的要因もイレギュラーな環境ではなかったですからね。

 たとえば、これが、猛暑や酷暑、もしくは、雨天だったり、ではないですよね。
 また、開催場所が、中東やアフリカの独特なロケーション、ではないですよね。
 ピッチの状況がサッカーをするような状態でない、などということはないですよね。

 このような外的要因で、その実力以外の部分が作用して、内容が拮抗したりしますが、今回のグラスゴーはスペインにとって全く言い訳ができない環境でしたよね。

 気候も最高気温が20度を切るくらいで、サッカーをするのに悪いものではなかったし。



 で、ここからはまったり見ていたので、簡単な内容と個人について。


 前半開始から、怯むことなく、前から連動したプレスや下がってブロックを作るなど、状況に応じてチームの守備組織がほぼ完ぺきにできていましたね。

特に、各選手が五輪という舞台で、気おくれしてなかったこともでかかったですね。浮き足立つことなく、勢いをつけて試合に入れたのは、日本サッカー界の積み上げを感じました。

 前半からの勢いのある受けの守備ではなく、攻めの守備で、ボールホルダーへのアプローチスピードは半端なかったですからねえ。

 そんな中で、セットプレーから先制点を奪い、永井のスピードから退場を誘いと完全に日本のペースで試合を進めることに成功して、後半は、リスクを冒してバランスを崩しながらも攻めるスペインに決定機の山を作った日本。

 攻撃も、奪ってから、永井に裏やサイドのスペースに走らせるなど、シンプルながら徹底していて、永井のスピードだけでスペインDF陣に脅威を与えていたので、それだけでスペインは、なりふり構わず上がっていけなかった。

 追加点が奪えなかったこと、故障選手で交代枠を2つ使わざるを得なかったこと以外は、すべてプラン内、想定内でことが進んだのではないでしょうかね。



 最後に、気になった個に目を向けると、

 永井・・・速さはマジで、ヤバかった。決定機を1本でも決めていたら、スピードスターで欧州各国の1面を飾っていたことでしょう。 惜しかったのは、すべての決定機で左足だったこと。日本が右からの崩しで攻撃を作られていたことも起因していたでしょうが、利き足の右なら1つは決めれていたのではと思いました。

 山口蛍・・・前からのプレスがチームで機能していたこともあったけれども、彼のところでボールがガンガン奪えた。チームとしてボールの追い込み方が明確だったことと、蛍の先を読む力も効いていて、奪いにいっても安易な飛び込みをせずに、身体ごと当てにいって、きっちりボールを奪っていた。マジで、ビビるくらいに今日の蛍は良かった。また、機を見た飛び出しで、自身がシュートを打っての決定機を作ったあたりも、ものずごくスピードと積極性を感じた。

 清武・・・チャンスメイクは一級品。欧州での攻撃的ポジションにおける一級品の選手になるためには、ゴールを決めきる能力をつけないとね。清武がゴールを決められる大会になれば、日本の攻撃はずいぶんと楽になるはず。このままでは、攻撃的なユーティリティープレーヤーという印象だけで、インパクトが足りない。器用貧乏にならない為にも、ゴールにこだわれ!

 扇原・・・後半になって徐々に試合から消えていく流れになってしまった。前半から飛ばして入ったことも影響したと思うけれども、それまでの出来は、まずまずか。彼の能力からすれば、もっとやれると思うけれども、今シーズンのプレーを見る限りでは、悪い部類のプレーではなかったと思う。

 徳永&酒井宏・・・スペイン相手に、両SBがスピードやフィジカルで互角に戦えて、守備面でシャットアウトできたのは大きかった。両SBの守備の安定もかなり効いていたように思う。特に、徳永は不要な飛び込みもなく、落ち着き切った対応は見事だった。

 関塚監督・・・スペインを研究して、対策したことが、バッチリはまって、勝利に導いた手腕は評価されるべき。試合内容からしても日本の良さを出したえ上で、勝てた訳だから言うこと無し。宇佐美をスタメンから外す決断なんかも、はまった。
 しかし、決勝T進出に目を向ければ、重要なのは大会前からモロッコ戦だった訳で、ここでさらに、日本の良さ、このチームの良さを引き出して欲しい。



 重要な第2戦モロッコ戦は、中2日。
 この短期間で次の試合がくる日程の中で、どうやってチームをマネージメントしていくのか?
 関塚さんとそのチームには、いい意味で、まだまだやってもらいたいことがたくさんある。