来年、夏に豊洲の3D劇場で上演される新版『ヤマトタケル』
客席が廻る? 360度の劇場と云う事は、いったいどんな新版に
なるのでしょうか?

 

今朝にも書きました「来年の事を云うと鬼が笑う」
しかしそろそろ笑えない年末になって参りました(笑)

 

その スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』の初演は
1986年(昭和61年)3、4月でした。


そして その時の総理大臣は中曽根康弘さん。
先日、その中曽根元総理がお亡くなりになられました。

中曽根元総理と『ヤマトタケル』には つながりがございます。


この『ヤマトタケル』の初演時の夜の部に中曽根総理と
当時の官房長官だった後藤田正晴さんがご観劇にお見えになりました。


ご観劇日の正確な日にちは覚えておりませんが 
夜の部に中曽根総理が『ヤマトタケル』をご観劇に見える
と云う情報は出演者も知って居りました。


お忙しい総理と官房長官が時間を割いて 5時間にも及ぶ
スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』をご覧になられると
私たちもワクワクしておりました。

 

しかも、今からは考えられない方も多いと思いますが、
スーパー歌舞伎と云うもの自体が 世間的にはそれほど
認められていないという状況。 そんな中でのご観劇だった訳です。


ところがこの日の昼の部にアクシデントが発生。
大ぜりが故障してしまい 修理でお芝居が中断いたしました。 

 

修理終了後 昼の部の終演が1時間半も遅くなり
それに押されて 夜の部の開演が6時近くになりました。


故障のあった時点で 劇場か会社から総理に何らかの連絡を
されたと思うのですが、
総理からは
「わかりました。上演される限り何時になっても 開演時間に伺います。」
と 連絡を頂いたとか・・・。


開演前の総理ご到着の折 客席内はSPなどの厳しい警備で
ピリピリしておりました。

 

そしてお芝居が終わり 終演が11時を過ぎたにもかかわらず
最後までご観劇下さった中曽根総理と後藤田官房長官が
カーテンコール終了後の舞台の全員の前にお見えになりました。


総理はヤマトタケルに扮した猿翁旦那に
「古いと云われる歌舞伎を よくぞここまで
現代にマッチしたものに変えられました。」と
絶賛されていたのを今でも覚えております。

 

歴代の総理はよく歌舞伎をご覧になられておられますが、
スーパー歌舞伎をご観劇頂いた現役の総理大臣は
中曽根康弘さんだけではないでしょうか?

 

あの時、あのトラブルの中見て頂き 本当にありがとうございました。

 

スーパー歌舞伎を愛して下さった元総理大臣 中曽根康弘さん

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。