昨日、ブログ休載にも拘らずたくさんの御訪問者 コメントの数に驚いております。
ありがとうございました。



『男の花道』舞台中で猿之助さん扮する 中村(加賀屋)歌右衛門が
自分の紋所の由来について 語るところがございます。

ご覧になった皆様は このあたり、ご理解いただけましたでしょうか?
折角ですので、是非とも聞いていただきたい部分でございます。


そこで、このあたりについて 今日は少し、書かせて頂きます。


歌右衛門の紋所は「祇園守(ぎおんまもり)」 


加賀(金沢)出身の初代歌右衛門が京の都に上り、
祇園八坂神社に参拝をして 芸道精進 自らの大成の願をかけたところ 
その赦しを得て 八坂神社の護符を紋所として家紋と致しました。


護符は本来銀杏を下敷きにしたお札でしたが、その札が筒となり 
やがて巻物になったところから 祇園守となりました。

ここから、初代加賀屋歌右衛門の紋となった訳です。


ここでピンとこなかった方は「祇園守」と検索してみてください。
すぐに画像つきの検索結果が出ると思います。


猿之助さん扮する 三代目歌右衛門、とその父の初代歌右衛門は「加賀屋」。


三代目の弟子であり その後養子となったのが 四代目歌右衛門です。

ある時に 四代目市川團十郎から 

 加賀から江戸に下ってきて大成した 三代目歌右衛門に続き 
 その子が四代目を継いで これも大成したことに対して 
 将棋の駒に例えて 「駒が、歩から〈と金〉になった」

と表現され と金の成駒柄の着物を頂きました。


猿之助さんコラボのユニクロのTシャツにも その柄がございますね。

それがきっかけで、團十郎の許しを得て屋号が「加賀屋」から
「成駒屋」となったのだそうです。


そして江戸中村座での評判により 苗字自体も「加賀屋」から「中村」に代わり
四代目さんの時代に「中村」歌右衛門となった訳です。



一門の方たちの屋号 あるいは今まで苗字が加賀屋で 
歌右衛門系が成駒屋なのはそういった理由からです。

今現在は、加賀屋を苗字として持つ 歌舞伎役者は存在しておりません。

中村歌江さんが 平成8年までは「加賀屋」の苗字を名乗っておいででした。


また、現在では、平成13年に亡くなられた 六代目歌右衛門さんの系統では、
ご本人は 成駒屋であったのですが、

養子に当たられる 中村梅玉さんが 高砂屋
同じく弟で養子の 中村魁春さんが 加賀屋
そして 芸養子の 中村東蔵さんが 加賀屋

と云う感じで、屋号にもいろいろとございます。

ちなみに 高砂屋と云うのは「高砂屋福助」という上方の系統を継ぐ 屋号になります。


このあたりを詳しくご紹介しようと思いますと、本当に大変ですので・・・

もし、機会がございましたら。
ご興味のあられる方は、「かぶき手帳」等でも ある程度は記載されていると思います。



「男の花道」という お芝居の中の物語ではございますが、実際の今の系統にもつながり
今の歌舞伎界の 礎を作られた方の 一つの物語でもございます。
(フィクション、ノンフィクションはさておき)

そういう観点から お芝居を見ていただきましても 楽しいのではないかと思います。