お三輪の衣装の2日目です。


昨日の草色の”十六むさし”の文様の着付けの下に 
もう一枚 着ております衣装がございます



これが、段染(だんぞめ)の麻の葉 鹿子文様。

通称?段鹿子(だんかのこ)


今月の『妹背山婦女庭訓』に登場いたします、玉三郎さん扮する「お三輪」
今日は着付けの中に着ている もう一枚の着付け 段鹿子について 
お話致します。



これは襦袢ではなく着付けです。


着付けと申しますのは 私たちで言いますところの「着物」


簡単に申しますと、

お三輪は 「赤の襦袢」の上に、「段鹿子」を着て、さらに昨日の「緑の十六むさし」の
着物を着ていると云う事になります。


一方、同じく「段鹿子」の衣装と云って 思い出しますのは・・・

『お染の七役』の大詰めの お染、
『櫓のお七』のお七


まだ 他にもいくつかございますが・・・
皆さま、どんなものが 思いつくでしょうか?



同じ「段鹿子」ではございますが、これは 所謂 上着?(笑)として、
上に着ておりますので、微妙に意味合いが 違っております。
(細かいですが・・・)


この、緑の着付けと、段鹿子の着付け。

実は実は・・・ここだけの話・・・(笑)
二枚着ている訳ではございません


 
イメージ 1



写真のように 裾のフキや袖模様に着ているように見えますのは、 

生地だけを 見えるところだけ二重に縫い合わせて ございます。


そこで肌を脱ぎます右側だけ 普通に袖を仕立てございます。

イメージ 2



左側には袖はございません  



これは着膨れするのを防ぐためと やはり分厚くなりますと

動きにくくなるために このような処置を施してございます。


いじめの官女に片肌を脱がされた時に やはり娘らしく見えるように

衣装にも演出されているのが歌舞伎です。



お三輪は、登場した時には草深い田舎娘を 緑の衣装で お客様にアピールして

官女にいじめられた後 死んで行く時には、恋に生きる娘の気持ちを伝える為に
片肌脱ぎの段鹿子の衣装で いたいけな娘の気持ちを表します。 


そう思って 見て頂きますと・・・一つの事に 思い当たるのではないでしょうか?




お染、お七、お三輪。


いずれも 恋に生き、恋に死んでいく・・・

そう云う 若い娘の 恋への執念が 段鹿子に込められているのでしょうか?


もし、今度、この模様を見られる事がありましたら・・・
その娘さんの行く末を・・・そっと、見守ってあげて下さい・・・



こう云った衣装にもお芝居同様 表情がある事を楽しんで頂けたらと思います。





と、書いておりましたら・・・ふと思い当りました。

せっかく 綺麗にまとまったと思いましたのに!!!!(笑)


『仮名手本忠臣蔵』に出て参ります、鷺坂坂内。

この人も、段鹿子を着ておりますね。
何故???

今日 追及していきますとややこしくなりますので、
また 調べてみます(笑)