鎮守氷川神社様のスサノオ大幟|疫病鎮静の象徴
福島県いわき市で手描き伝統絵画の幟旗を制作する絵師・辰昇(しんしょう)です。今回は埼玉県川口市の鎮守氷川神社様に奉納した「スサノオ図大幟」についてご紹介いたします。
スサノオ大幟|疫病鎮静を願った一枚
鎮守氷川神社様の御祭神はスサノオノミコト。
今回神職様のご希望により、スサノオ様を、鍾馗様と同じ御姿で描かせていただきました。
埼玉県の氷川神社のルーツは島根県の出雲大社にあり、その信仰や文化に深い結びつきがあります。島根に古くから伝わる「石見神楽」では、スサノオ様と鍾馗様が同一視されることがあり、その流れを汲んだものとして今回の図像を制作しました。
スサノオ図大幟 / いわき絵のぼり絵師・辰昇
制作背景|疫病鎮静を願い
この大幟は、2020年(令和2年)に新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、神職の皆さまと氏子崇敬者の皆さまの強い想いに応える形で制作されました。疫病退散を願い、スサノオ様の力強い御姿を5.5メートルの大きさで描きました。
鎮守氷川神社様の例大祭などで掲げられ、参拝者を迎え入れています。
伝統工芸・手描き大幟の制作過程
構図の設計と下絵作成
手描きによって御祭神を描いた大幟は、現代では非常に希少なものとなっています。
制作にあたり、まずスサノオ様の下絵を作成し、神職様と構図やバランス、制作意図を共有しました。縦長の幟旗であるため、スサノオ様のご神徳を表現するために、天を貫くように剣をまっすぐ上に掲げる構図が自然に決まりました。
本手描き顔料染め
布地に直接筆入れを行い、一筆一筆丁寧に染め上げる「本手描き顔料染め(肉筆画)」の技法を使用しています。色の重ね染めで濃淡をつけ、立体感を出しながら細部を仕上げていきます。手描きならではの筆の力強さが、大幟に迫力を与え、神社のシンボルとしてその存在感を一層際立たせます。
江戸時代の絵師たちが培った技法を現代に生かし、継承する想いを込めて制作させていただきました。
奉納者と御神徳の継承
この大幟は、元木恵介様と福世一明様の連名で奉納されました。奉納者名の筆文字は、福島県出身の書家・根本みき様によって揮毫していただきました。多くの方々の想いが込められた一枚となり、神社に掲げられることで、その信仰が次世代に伝わっていくことを願っています。
神社の象徴として、御祭神を描いた大幟
御祭神を描いた大幟は単なる装飾ではなく、神社の信仰を象徴する重要な存在です。このような貴重な役目をお任せいただき、心より感謝申し上げます。無事に奉納を終えることができ、安堵の気持ちでいっぱいです。
これからも、参拝者の皆さまにご覧いただき、神社の歴史と信仰を伝える一助となることを願っております。
スサノオ御朱印の原画について
また、現在鎮守氷川神社様でご使用いただいているスサノオ様の御朱印の原画も制作させていただきました。こちらの制作秘話などについても、後日改めてご紹介いたします。どうぞお楽しみに!
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