前編では民主主義の観点から、モテることの正当性について示した。
 
しかし、“流行り”も“モテ”も他者と同じものを需要する行為が生んだ結果。
民主主義といえど、求めるものは画一的である。
同じヘアメイクに同じ服、同じ喋り方。
滑稽だ。
どこかで社会主義を求めているのかとさえ思う。
 
 
「そんなのモテない女の屁理屈ではないか?」
 
そう、その通りである。
筆者は人と異なる不正解を選択することで逃げてきた。
正解の競争から。
 
同じヘアメイク、同じ服を身にまとえば、それぞれの人間が持つ容姿の差が顕在化する。
友人と並んでも、そこには必ず優劣が発生する。
これは、就職活動におけるリクルートスーツと同じ原理だ。
個性を消し、一様の身なりにすることで、各人の素養だけで優劣をつける。
 
正解を選ぶことはすなわち競争を意味する。
 
筆者には、この競争を勝ち抜く自信がなかった。
そして、戦わずして負けることを選んだのだ。
 
 
 
この文章を書き記していた矢先、ペアーズでこんなことがあった。
 
筆者に入札してきたのは、月200ほどのいいねを稼ぐ人気会員H氏。
容姿も冴えない、身長もいまいち、年収もそこそこのH氏がなぜそこまで人気なのか。
 
三代続く開業医の家に生れながら医学部には進学せず(できず)、三流私立理系大学に進学。卒業後は事務職として家業を継ぐも体裁が悪いため、私大医学部に進学。
プロフィールに記載されたのはそんなエピソードと、高級外車や別荘とカネの匂いのする写真の数々。
 
そう、人気の理由は親の財産である。
 
親の築いた地位と財産を武器にするという戦い方、筆者は好まない。
しかし、こんないけ好かない奴が筆者に何の用かと話をきいてみることにした。
 
 
以下、転載。(名前以外は原文そのまま)
 
―前略―
H氏: おれがプロフ作りましょうか?笑
    筆者ちゃん、可愛いくて、きっと聡明な方なんだと思うけど、、プライド高い?w
 
筆者: やっぱりプロフだめですか?笑
     プライドは高くないけど、開き直りですねー。もはや万人ウケ狙っても仕方ないし(・ω・)ノという気持ちです◎
 
H氏: まぁ、プロフはダメですねw
    でも、本当に合う人を探すにはこのままが良いかも(存在しないかもしれないけど笑)
    女医さんの未婚率、離婚率知ってますか?笑  高学歴女子って、過酷(´・_・`)w
 
筆者: ダメなんだ!結構イケメンにも会えるから、アリなのかなーと甘んじてました(。-_-。)
     まぁ売りが親の財産だけっていうサムいプロフもどうかとは思いますけど笑。
     女性でもお家柄って使えます?わたしも使おうかなー。
     せっかくなんで、Hさん的模範解答プロフみてみたいです(・ω・)ノ
 
H氏: 理解してもらいたいのは、男と女でモテるポイントが違うってことですかね。
    議論に勝つことや、プライドを保つのが目的ではないはずですし
 
筆者: もちろん理解してますよ◎でも使えるカードがないのもまた事実なので笑。
 
H氏: 美人なんだから、それをいかにアピールするかだけだと思うけどなー
 
筆者: 正直、容姿を肯定されるようになったの、このサイト始めてからからです…今まで何だったんだろうって思います笑。具体的には写真をまともにするとかですか??
 
H氏: 写真は大事ですよね。
    もう少し出会いを広げてみるには、男ウケのいいメイクと髪型ですかね?
    たいていの男は女性のルックスが恋愛の入り口だと思うので
 
 
 
何を思ったか、のっけからケンカを売ってきたH氏。
もちろん売られたケンカは買うのが筆者。
よくもこんな皮肉と非難だけで会話が成立したものだ。
 
H氏は服もヘアも万人ウケすなわち“モテ”を狙っているという。
筆者から言わせれば、武器になっているのは、親の財産だけ、万人ウケどころかただのダサ男だけどな。
そこは飲み込んだ。
 
 
とはいえ、H氏の言い分は“正解”に当たる。
民主主義の婚活社会において、至極正しい。
自ら不正解を選択し、不戦敗の道を歩んできた筆者を非難されたかのようにすら感じられた。
 
そして、筆者はまたひとり、不戦敗の道を歩み続けるのであった。