泰三は立ち上がって

 部屋にある客用の

 黒い革張りの

 ソファーに圭一を

 招いたが、

 圭一は頭を

 振って断った。
「すぐに帰ります。」
 泰三と圭一は少し

 空間を開けて

 立ったまま話す

 ことになった。
 泰三は圭一に

 穏やかに暴行事件に

 至った経緯を

 話し始めた。
「私は貴方に対して

 大きな誤解をして

 暴行をしてしまったと

 後で気がつきました。
 恥ずかしいですが、

 あの時の事は

 余り記憶にありません。
 騙された、

 寝取られた、

 男の性ですかね、

 そう思った途端理性が

 吹っ飛んだんです。
 ただ、百合子を

 寝取ったのは

 そうなんでしょう?」
 泰三は百合子の

 死後でさえ

 嫉妬の炎は消えて

 いない様子で

 微笑んでいても
 目は冷たかった。
「ぼくと百合子さんは

 なんにも

 ありませんでした。

 何年も友人で、
 ぼくの気持ちに

 やっと答えて貰った

 直後でした。

 でもあの事はもういいんです。
 百合子さんが自殺した、

 ぼくは最近やっと

 知りました。
ぼくは知りたいんです。

 なぜ百合子さんは死んだんですか?」


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