久しぶりに

 通いなれた道を

 歩いて、懐かしさと

 胸苦しさで

 いっぱいになる。
「百合子さん!

 頼むから居てくれ!」
 足を引きずりながら、

 それでも

 かなり早足で、

 弁当屋に向かい、
 弁当屋が見えて、

 あの中に

 百合子さんがいる、

 そう思って圭一の

 胸が熱くなった。
 扉を開けて

 カランと音がなり、

 振り向く百合子の

 笑顔を思い浮かべた。
 しかし、

 弁当屋に百合子は

 いなかった。

 見知らぬ中年の

 女がいる。
「すみません、あの、

 今日は矢上

 百合子さんはまだ

 来てないんですか?」
 不安な表情で

 圭一が尋ねても

 相手の女は仕事の

 合間に適当に答えた。
「え?矢上さん?

 そんな人はいません。」
「知らない?

 矢上さんを

 知らないんですか??」
 圭一の声を聞いて

 奥から店長が

 顔を出して代わりに

 答えてくれた。
「あの人はだいぶ前に

 うちを辞めて、

 今は政治家の

 事務所で働いてるよ。」

「やめたんですか?」

「変な男が勝手に

 連れてって

 それっきりだよ。

 一回挨拶に来たけど、

 急にやめられて

 本当に迷惑したんだよ。」
 圭一は驚いたが

 生きてるんだと

 安心した。

 変な男…あいつだ、きっと。

 また別な心配が沸いた。

 それから公園に

 行って万里子を探した。

にほんブログ村
人気ブログランキングへ


今日もご訪問ありがとうございます。

昨日は休んでしまってごめんなさい。

また待ってますね。