こちらもチェックしてね!
高校二年の夏のことです。
地元で一番大きな花火大会に当時付き合っていた彼と行くことになりました。
彼は割と俺様なタイプで「絶対浴衣着てこいよ」と言われ
浴衣を持っていなかった私はそのためだけに浴衣を母と一生懸命
似合う似合わないだの言いながら選びました。
当日、いざ準備をしようと浴衣を着てみたのですが、
母も私も浴衣なんて着方が分からないことに気付きました。
パソコンで検索して見よう見まねで母に着せられるも失敗し、
結局祖母に頼んでなんとか着ることができました。
これが第一のアクシデントでした。
次に花火大会に着いたのですが浴衣でもたもたしたせいで
先に彼がついていました。
そこで知ったのですが彼は勝手に
私の知らない彼の友達カップルを呼んでいました。
少し憂鬱になりながらも懸命に彼を探していましたが
普段下駄なんてはかないので転んでしまいました。
転んで見上げると手を差し出す彼が。
なんてことはなく、痛い足を引きずり彼を探しました。
結局会えたのですが2人で歩いていても
不自然な私の歩き方には気付いてくれませんでした。
これが第二のアクシデントです。
彼の友達カップルとも合流し、花火までの間4人で居たのですが、
2人とも彼の地元の友達で久しぶりに会ったらしく
ずっと私以外の三人で話していました。
私はどうやっても入ることのできない会話を
にこにこしながら聞いていることしか出来ず、
せっかく彼と来た花火大会なのにすごく悲しくなってしまいました。
あと少しで花火も上がるという時でした。
彼が急に「ちょっと飲み物欲しいから行こう」と私を連れ出しました。
正直嬉しいというよりはもうすぐ花火が上がるのになんで?
という気持ちでしたが彼に従いました。
友達カップルから離れてしばらくした所で
急に彼が「久々に友達に会って舞い上がってた。
つまらなかったよな。ごめんな」と言いました。
私は普段俺様な彼がそんなこというなんて、
と驚き「そんなことないよ」としかいえませんでした。
そうすると続けて彼が
「もうあそこには戻らない。今から2人で見よう。
あと、俺のために浴衣着てきてくれてありがとう。すごい可愛いわ」
と言ってくれたのです。
私はその時初めて浴衣を着てきて良かったな、と思えました。
その後からは本当に楽しい浴衣デートになりました。