(2022/04/05 記)

 

最近は月画像を正立像で公開していましたが、直近記事は左右反転はした

ものの、倒立像のまま公開してしまってます。一旦取り下げも考えましたが

そのままにしておきます。

他の惑星像も最近は人工天体からの画像にあわせて北を上に正立像で

公開される方も多くなりましたが、火星と木星に限っては、長年の習慣からは

違和感というか逆立ち感が否めません。土星は上下左右対称っぽいですが。

(銀塩フィルム時代にはフィルムの上下で画像の上下を統一してあったので

倒立像の高倍率望遠鏡画像は必然的に倒立像での公開となっていました。)

 

その一方、月は肉眼で欠け具合と模様が見えるので、倒立像には逆に違和感

が否めないのでした。

 

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2022/03/23 (水) の深夜(24日未明)、お風呂から出て、寝酒の準備中に

ふとベランダから東の空を見ると、いつの間にかかなり東南側から低い軌道で

月が昇るようになっているのに気付きました。

少し前までベランダからはかなり左端(北東)から天頂近くに昇る高い軌道で、

冬の月が昇っていた印象でしたので、出現位置が不自然に見えるようでした。

 

既に01時を回っていましたが、微動雲台付三脚にHX99 単体だけをつけて

短時間だけ撮影をしようと思いました。この機動力は他の構成では考えられ

ません。

 

 

ところが、設営のために再度ベランダに出てみると、直前には無かった雲が月周辺に

からんでました。 

 

  

まるで雲が月に引っかかっているような感じで、なかなか月が雲から出て来ません。

 

 

 

  

結局、この推移を待機するだけで20分ほどかかり、根負けしそうになりましたが、

次の雲もすぐにからんで来そうで、単枚撮影から始めました。

仕上がり後に雲による輝度ムラが無かったのは、この1枚だけでした。

  

   

その後も月の前を雲が通過しましたが、完全に隠れるほどではなかったので、

多数枚合成であれば、輝度ムラも平均化されるかと期待して、動画撮影に

入りました。

 

  

ずっとお蔵入りだったWX60 に今まで残り物の1GB SDカードしか割り当てていなかった

ところ、ETX-90 との組み合わせで、動画記録に本格使用することになり、直近記事での

撮影時にも途中で容量不足となって、TX55 の16GB と入替えが必要になりました。

 

そんな事態が撮影の都度に繰り返しになるのは厄介なので、新たに128GB の

microSD を入手しましたが、安価なうえに最新の高速転送規格対応のものだった

ので、HX99 で使っていた16GB をWX60 に、新しい128GB を当夜からHX99 に

使うようにしました。

 

動画撮影モードを、AVCHD MP4 30fps から、XAVC S HD 60fps に変更が可能と

なり、1秒間60コマでの記録が可能となったので、赤道儀なしの固定撮影でも狭い

スポット測光エリアに対象を留めておける短時間に、倍のコマ数を記録できるように

なりました。

(WX60 は AVCHD MP4 30fps が最速設定なので、高速対応SD は不要です。)

 

XAVC S HD 60fps の動画も、XMedia Recode での無音無圧縮AVI 変換や、

AutoStakkert3 も問題なく処理出来ました。

Registax6 でも対応可能ですが、AutoStakkert3 で処理できるなら、設定の手数が

少ないので有難いのです。30秒少し、1978コマからの仕上がりです。

  

  

静止画の仕上がりの段階では、こんなにネムい印象だったか、と思いましたが、

ETX-90 +WX60 の最近の快進撃の影響なのでしょう。本来、狭小素子の小型

デジカメ単体で月の詳細が撮れる自体、驚異的なことだった筈が、いつの間にか

期待のハードルが上がっていたのでした。

 

その点、この動画記録からの多数枚合成の仕上がりは、デジカメ単体での期待

を充分超えていると安堵しました。

 

ただその一方、雲が月全体を隠したり、輪郭を変形させる瞬間は無かったものの、

仕上がりに月の輪郭線が変形した仕上がりが多く発生し、それらの原因が分かって

いません。

XMedia Recode でのAVI生成時に、ブレや構図外れなどのコマが無い区間を指定

して処理した筈なのでしたが...。

  

  

後処理での強調処理が過剰だったためではありません。AutoStakkert3 での多数枚

合成のステップが終わった時点で既にこのような右下近くの輪郭線の暴れが生じて

いました。

 

折角のおよそ50秒、2997コマからの仕上がりだったのに残念です。

欠け際の詳細は最高でしたが、これだけ下方の円周部がガタガタでは当夜のベスト

画像にはなりません。改めて区間編集したAVI を再生して確認しましたが、ガタガタ

になる原因になりそうな、雲や気流による攪乱変形はありませんでした。

 

もしかしたら、AutoStakkert3 の多数枚合成で各コマの動きを追う基準点(アライン

メントポイント)を自動で多数月面に設定しているのですが、その個々が雲に隠れる

瞬間があちこちで頻発することと関係があるのかもしれません。

   

撮影時点には万一、XMedia Recode で XAVC S HD 60fps から無音無圧縮AVI を

変換生成出来なかった場合も考えて、従来通りのAVCHD MP4 30fps でも動画記録

しておきましたが、1秒当たりのコマ数が半減するのと、雲が極力横切らない区間を

抽出した結果、50 秒で810 コマしか得られなかったため、拡大すると欠け際の質感

が甘いです。

 

 

また不可解ながら、このAVCHD MP4 30fps からのAVI だけ、AutoStakkert3の初段で

エラーとなり、Registax6 で仕上げました。WX60 でのエラーと同じく、AVCHD MP4 30fps

からの変換特有の何か問題があるのかもしれません。

 

まあとりあえず、1画像でもしっかり仕上がってよかったです。

保険で、静止画の保存と同様、動画記録も数打っておくことが必要そうです。

 

雲の影響なのかどうかを見極めるのには、こんな状況では撮影しないに限ると

いうことでしょう。勿論、HX99 でのお手軽機動力が無ければ平日の深夜に出撃も

しませんでした。その機動力がやや裏目となったのは、不本意です。

 

 

 

ご覧いただきありがとうございます。