太極拳「前引き」の注意、手足と股関節を繋げる | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

太極拳を趣味でしているシニアの方から、片足立ちがグラグラして安定しない、ということを聞くことが多い。足もとを見ると、ほとんどの方は、足の親指が外反母趾に変形し、膝や股関節、身体のあちこちがが痛いと訴える。
 
動きを見せてもらうと、ご本人の可能な可動域以上の動作をしようとして関節や筋肉に負担をかけているように見える。例えば、爪先を外に向けるには、股関節の外旋の動きが必要になる。ところが、股関節の外旋可動域の少ない人が爪先を外に向け過ぎてしまうと、足が股関節とつながらず、足首と膝で捻じる動作になり、関節や筋肉に無理な負担をかけることになる。自分の可能な可動域で動作をおこなうことが大切だ。
 
本日、来院された方からは事前にメールをいただいていた。
 

太極拳で「前引き」の注意を受けたのですが、太極拳は、両足を前後にして、動きます。(弓歩と言います)(「前引き」:前足(膝)が、後脚より先に、前に動くことらしい)その注意の原因、理由が理解できず、今も困っていますお目にかかった時に、伺いたいと思いながら、メールしています

私は「前引き」がわからず、文章だけではイメージができなかったので、実際に太極拳の動作をみせてもらった。見たところ、股関節の動きがないように見える。そのため、大腿骨と骨盤が一塊のまま動作をしているように見える。全身をチェックすると、外反母趾と肩関節の可動域制限が確認でき、股関節の動きを止めている理由がわかった。
 
 
股関節の動きを意識すると足ばかりに注目しがちだが、手と足の両方注目しなければいけない。太極拳の動作をするときにボールを抱くようにするそうだが、肩関節の内外旋の動きが不十分で手首と肘の手先の動作になっていた。股関節が滑らかに動く条件は、四肢と体幹が連動する姿勢(骨格の位置)で正しく接地すること。手の使い方と接地の方法を修正してみると、太極拳の動作が安定した。しかし、関節や筋肉の不具合を改善していかなければ、可動の大きい動作ができるようにならない。自分の身体の状態を把握し、身体の改善と正しい動作を心がけることが大切だ。