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アメリカでは高齢者の失業率は低下、労働参加率も安定している一方で若年層の失業率の低下は鈍く労働参加率も低下している。まあ、これはアメリカだけではなく世界中の先進国で起こっている(先進国以外でもだが)ということは以前からこのブログでは何度も書いている通りで、日本の就活システムや新卒一括採用に文句ばっかり言う人が多いがいつも書くように世界の他の先進国に比べればはるかにこのシステムが(少なくとも今までは)合理的であるということの一つの証拠である。
では、なぜ世界中の若者が働かなくなっているのか。理由はいろいろあるだろう。
①社会保障制度が充実しすぎて働かなくてもよい
②社会に入る前に学ぶべきことが以前よりも増えている
③学歴至上主義が蔓延し学歴を得るためにより多くの時間を使わざるを得ない
④資格が必要な仕事の数がどんどん増えているので資格の取得に時間がかかる。またそれ自体が労働市場への参入障壁になっている
⑤グローバルに企業が生産拠点などを自由に移転するので特定の新興国に労働需要が集中し特に先進国(や政情不安定な国など)ではそれが減退している。
などなどだろうか…。
Marginal revolutionではアメリカの議会証言で出たこんな説もひろうされている。
Most of the decline in participation occurred among teenagers and young adults. The finding that these effects tend to be larger in more prosperous families points strongly away from much of a role for rising influence of benefit programs, because these programs, especially food stamps, are only available to families with incomes well below the median.
(Who is moving out of the U.S. labor force? より。)
労働参加率の低下の大部分は若年層の間で起こっている。この傾向はより豊かな家庭の若者に多く見られる。
ということらしい。過度な社会保障が労働参加率の低下や失業率の高止まりを招いているという説も有力だが、どうもそれだけでは説明しきれないようである。
まず、ぱっと思いつくのは豊かな家庭の若者ほど職の選り好みが強そうなのでそのような職があくまで待っている。金銭的にも余裕があるので大学院により長く通っている。ぷらぷらしている期間が長くなるというのが一つはありそうである。
一方で、親が豊かなんで、財産が有るんで別にそんなに働かなくてもいいや…。というのもありそうである。まあ、いい職を探しても見つからないうちにそういう風になってしまう人は多そうだ。
要は、豊かになれば働かなくてもいい。となってしまうのは人間のサガみたいなものなのかもしれない。先進国全般における若年層の失業率の上昇と高止まりは社会・経済が豊かになれば必然的に起こってくる現象であるという面も強そうである。
豊かになった証拠でいいじゃないか。と考えることもできるだろうし。盛者必衰の理にしたがって起こっている現象と考えれるかもしれない。
Most of the decline in participation occurred among teenagers and young adults. The finding that these effects tend to be larger in more prosperous families points strongly away from much of a role for rising influence of benefit programs, because these programs, especially food stamps, are only available to families with incomes well below the median.