欧州債務危機 イタリア、そして日本 | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします


欧州の債務危機が継続中だ。焦点はイタリアである。

非常に簡単に今日も状況をまとめてみる。

イタリアのGDP対比の累積債務は120%に及ぶ。ただ、プライマリーバランスは黒字である。そもそも今回の債務危機が始まったといえる去年の4月ごろからつい最近まではイタリアはPIIGSといわれる国の中では一番安全な国とされてきた。なぜならば、プライマリーバランスが黒字だからである。年金改革もすでに行っている。1990年代の痛い思い出から過度な財政政策にも慎重である。とのポジティブな評価があった。

実際、GDP対比の財政赤字は4%程度である。この数字はフランスよりもはるかに健全だ。

しかし、欧州の状況が少し変わってきている。当初は債務危機が起こっても欧州経済全体ではドイツの好調さが牽引して景気が大きく悪化することはないと考えられてきた。しかし、ここ3ヶ月ほどの経済指標はドイツですら失速し2011年の第4四半期以降しばらく欧州経済はリセッション入りする可能性が高いことを示唆している。

これの何が問題なのか?

イタリアはもともと、異常なまでに硬直的な労働市場に代表されるように、経済の構造が非常に硬直的である。よって、潜在成長率が非常に低いとされている国である。さらに、欧州全体の経済が低迷することで成長率が低迷することは避けられない。

そうすると、どうなるだろうか?

イタリアの経済成長率が-1%。インフレ率が3%とすれば、名目ベースの経済成長は2%である。一方でイタリアの10年国債の利回りは7%を超えている。

名目経済成長が2%しかないのにその負債に対して払わないといけない金利が7%。そして、累積債務はGDP対比で100%を超える。単純に考えれば誰もがイタリアはその借金を返せないだろうと思うはずだ。

一方で一時期問題視されたスペインの累積債務はGDP対比で60%にすぎない。また、イタリアほどに潜在成長率が低いわけでもない。(もちろん、スペインの労働市場も硬直的といわれるが、イタリアよりはましだし選挙後の政権は改革を行うことを確約済みだ)だから、累積債務に注目が集まり、最近、スペインよりもイタリアが注目されているのである。

キーポイントが経済成長と累積債務いうところに移りつつあるといえるだろう。

もちろん、ユーロ圏の諸国の場合には債務を中央銀行がマネタイズして、インフレを起こすことによって解消するという手段を取れないところにも問題があるのだが。。。(マネタイズすることを肯定しているわけではない)

さて。。。

経済成長と累積債務というと日本である。

潜在成長率は最早1%程度である可能性が高い。累積債務はGDPの160%を超える。今は多くの人が日本とイタリアは違うといっている。たしかにそれは正しいだろう。だが、同じことが1年前には言われていた。イタリアと他のPIGSは違うと。

そして、経済の潜在成長率を上げる構造改革には時間がかかる。窮地に陥ってからの増税は景気をさらに悪化させて財政再建をむしろ困難にするだろう。国力がさらに低下すれば、財政再建の保守本流(?)である財政支出削減も政治的理由から行いにくくなる。

そう考えるとイタリアは最早手遅れのレベルにまできているのかもしれない。国債の金利が上がるから財政再建が難しくなる。財政再建が難しくなるからさらに金利が上がるというネガティブなスパイラルにはいっているといえるだろう。

低い経済成長、財政再建の切り札は消費税のみ。どこかの国もイタリアとそっくりな面もある。そのことを忘れて日本はイタリアと違うといっているとそう遠くない将来市場からの攻撃を受けるのは日本になるかもしれない。

財政再建の道筋をつけることも大切だが、潜在成長率をあげるべく改革を行っていくべきだろう。

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