アイルランド。アイルランドの法人税がわずか12.5%であり、このことが財政悪化の原因という間違った解説も聞かれるみたいだ。
もちろん、12.5%という数字がラッファーカーブ 上で税収を最大化する税率かどうかは疑問があるだろう。
ただ、税が個人の財産権の侵害であり、また国内の競争力を喚起することで成長を促すために税率は低い方がいいと考えるならば税金はできる限り少ないほうがよいというのが基本的な僕の考え方だし、同意する人も少なくないだろう。
ではアイルランドの問題はどこにあったのだろうか?
http://www.cato-at-liberty.org/dont-blame-irelands-mess-on-low-corporate-tax-rates/
今日はこの記事からグラフをちょっと拝借して話をすすめる。
上の図をみればわかるようにアイルランドは税収の伸びに合わせて支出を増やしてきた。このこと自体はおかしくない気もする。(青が税収/赤が支出)
しかし、空前の経済成長がいつまでも続くと考えるのはおかしいと思うのは僕だけだろうか?そう考えていた政治家や国民もいたはずだ。もしそうしていれば今回の危機にももっと柔軟な対応が可能だっただろう。
しかし政府というのはたとえば個人のように貯金しておこう/支出を控えめにしておこうというようなインセンティブは持たないのだから仕方ないかもしれない。なぜだろうか?
政府としては税収をすべて使ってその分支出をすることで選挙民にアピールするというインセンティブが存在する。また、アイルランドは貧富の差も激しいから貧困層に少しでも経済成長のメリットを実感させるためにもそういった政策が必要だっただろう。
また、政治家や官僚も当然自分達の執行できる予算が増えることはうれしいことだ。支持者へのアピールのみならず自分達の国家を支配し運営しているという自己満足を得るためにも。
総論では増収分をたとえばさらなる減税にまわすとかすべてを支出しないでとっておくという選択肢もありえたはずだが、おそらく各論の部分になると政治家が地元への利権誘導や支持団体への予算配分に必死になるという姿も容易に想像できる。
さらに、一番の問題は不景気などで税収入が減少したときに政府支出は急速には減らせないということだ。当然支出を減らすには多くの抵抗を伴う。これは日本でも起こっていることだから多くに人が感じることだろう。
さらにグラフをもう一つ。
上の図はピンクが金額ベースの政府支出。青はGDP対比の政府支出の割合だ。
青を見れば経済規模の成長に伴って政府の支出は減ってきているようにも見える。
しかし、実際にはピンクの線のように実際の支出金額ベースでは政府支出は大幅に拡大している。
最近、よく言われるGDP対比で赤字がどれくらい、負債がどれくらいという考え方。これは半分は正しいが、半分はそれを理由に政府の規模を実質ベースでどんどん拡大させていくということでは非常に危険な側面もあるということがわかるだろう。
アイルランドはギリシアなどの比べればましだっただろうが、このように財政支出を拡大してきたことが急激な景気の悪化に対応し切れず(もちろんもう一つの原因は巨大になりすぎた銀行セクターだが)市場の攻撃を受けた原因といえそうだ。
いずれにしても、政府はほうっておいて勝手に規模を拡大する。高度成長が続き財政赤字がほとんどない状態であれば問題がないようにも思えるがアイルランドの例を見るまでもなく落とし穴は必ずあるのだ。
われわれは政府の自己増殖に常に厳しく目を光らせるべきだと思う。
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