
桂 「条件?」
高杉 「ああ、薩摩が我が藩のために銃や軍艦を長崎で買い入れてくれるなら…そう坂本に言ってはどうだ?」
伊藤 「そんな無茶な…」

高杉 「無茶だから言ってみるんよ。坂本らに両藩を取り持つ力量があるかどうかも分かるし、西郷に誠意があるかどうかも分かる」
井上 「なるほど、一挙両得だな」

桂 「じゃあ、私は中岡君にその話をしてくるよ」
高杉 「ああ」
井上 「…」

井上 「お前が薩摩との連合に条件つきとはいえ、賛成するとは思わんかったな」
高杉 「とんでもない、賛成なんてしてないぞ。新式銃を買うことが全てに優先するんだ」

高杉 「こっちの要求が叶えられたからといって、連合が実現できるとは思っちょらんよ」
高杉 「薩摩と手を握ろうもんなら、義助の霊が浮かばれまい」
井上&伊藤 「…」
数日後

高杉 「西郷が承諾した!?」
高杉 (意外だったな…)
桂 「それで誰か長崎に行ってもらおうと思ってな」

高杉 「じゃ聞多と俊輔がいいでしょうよ」
桂 「!」
桂 「君が行ってくれると思ってたがな」
高杉 「そりゃ長崎は好きじゃけど…今回は嫌です」

桂 「なぜ」
高杉 「武器を買うためには薩摩の連中と接触せんといけんし、場合によっちゃあ役人に薩摩藩士だと称さなけりゃ通らんこともあるじゃろう」

桂 「それが嫌なのか?薩摩を好まないのは何も君だけじゃない。これはお国の為だ、ワガママ言っては困る!」
高杉 「桂さん、嫌なものは嫌なんですよ」

桂 (まったく…)
井上と伊藤は長崎に出向き、小松帯刀に会った。
小松は鹿児島訪問を勧め、井上は鹿児島に20日間滞在した。
井上を接待したのは大久保と伊地知である。
一方伊藤は長崎に残って武器の買い入れを進めた。
ミネール銃4300挺(77400両)
ケベール銃3000挺(15000両)
ユニオン号(39000両)
桂は井上の手紙で大久保か小松が馬関に来ると知らされていたので
太刀と鍔を用意して待っていた(しかもわざわざ藩政府の了承を得て、武器調達の藩からの公式な贈り物とした)
が、大久保も小松も来なかった。
伊藤いわく、「両名の上京そのものが延期になったので次の機会に…ということになりました」