前のお話
患者さんとご家族を
自分事として見た時
私は大きな衝撃を受けた。
あの時、彼のそばにいなかったことは
正しかったんじゃないかって。
正しいっていう言い方が
しっくりくる気がした。
彼と会った最後の日
彼は重い口を開き
「入院することになった」と言った。
あまりにも予想外の言葉に
私は状況を理解できなかった。
彼は続ける
「数か月の入院になる」
きっと彼だって、その状況に
混乱していたに違いない。
けど、私の口から出た言葉は・・・
「私のお誕生日はどうなるの?」
今考えると、なんて
自分勝手な言葉って思う。
自分のことしか考えられない
幼い私が
もし付き添っていたとしても
彼を混乱させることしか
できなかっただろう。
だから、彼に付き添うことが
できなかったことも
最期の時にいなかったことも
大きな宇宙の
采配だったと思える。
そう思うと、看護師になった理由・・・
看護師生活の半分以上を
血液疾患の病棟に関わる時間が
必要だったのだと思えた。
そして、「終わった」って
いう感覚があった。
そこから、気持ちは迷路に迷い込んだ。
終わった感覚はあったものの
そこからどうしていいのか
全く分からなかったからだ。
次のお話
公開までお待ちくださいね。