ハイスクール物語

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大人の事情により、

骨組みだけで工事が終わってしまっていた薪小屋に

この先どうしようかと嘆いていたとき、
「続きを材料費だけで仕上げてあげるよ」と、
仕事が休みの日に秩父まで来て

一年かけて作ってくれたユミちゃん。
(正確にはユミちゃん夫婦)
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高校時代の友人だ。
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実は、ずーっと年賀状だけで、

会えないまま長く続いていた関係だったが、
2年前にユミちゃんが店に来てくれてから、

また会えるようになった。
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当時の写真でわかるように、

ユミちゃんは高校時代ヤンキーだった。
制服のスカートは足首まであったし、
髪にはパーマ、脇にはセカンドバッグ。
そして、後ろにはリーゼントの男子達。
女優の三原順子のツッパリ役そのままだった。
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授業も抜け出しては
裏にある茶屋みたいな処にたまってて、
それは三年間ずっと変わらなかった。
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私はと言えば、
部活、生徒会、バンド、ボランティアをし、

外見は優等生で、先生からの信頼もあった。
…が、実は内面は全然違っていた。
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家庭環境が複雑だったので、

心はすさんでいたし、暴力にも慣れていたので

姐さんの様に肝が据わっていた。
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そんな私達は
一年生のときに同じクラスになったのがきっかけで

話をするようになり仲良くなった。
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ユミちゃんはツッパっているけど、

字がすごくきれいで、頭の回転も速いし

実はポテンシャルが高い人だとすぐにわかった。

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見た目が優等生と不良の友達関係。

周りは不思議に思っただろう。
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でも周りのツッパリ男子も、

肝の座った私に怒鳴られてから一目置いてくれるようになり、

修学旅行先でこっそり誕生日パーティーをしてくれたり

(男女が部屋を行き来するのは当然規則違反ですが)
私が学園祭の実行委員長の年は、
ヤンキーが率先して出店や準備を手伝ってくれるという、

来場者が驚きを隠せないような盛り上がりだった。
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そんなある日、ユミちゃんが
「ウチに泊まりに来る?」と誘ってくれたので、

学校帰りにのこのこついていった。
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すると「途中の店で買い物するから待ってて」というので、

夜に食べるお菓子でも買うのかと思ったら、

手にしていた袋は料理の材料だった。
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実は当時、お母さんはいなくて、

ユミちゃんが妹の夕飯や朝食の支度をしているのがわかった。
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わたしは、自分は不幸だと思っていたけど、
もっともっと、頑張ってる人がいるのを初めて目の当たりにして

当時の私はものすごく衝撃を受けた。
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お風呂も用意してくれて、布団も用意してくれて、
並んで横になって、話をして…
私は話の途中で寝てしまった。
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翌朝、ユミちゃんに起こされて部屋を出ると、

朝ごはんが出来ていた…
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妹を出してから、二人でバスに乗り学校へ行った。
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「ユミちゃん凄いね」
って言ったら、「大したことしてねぇよ…」って言う。
それからホームルームが終わると、

ユミちゃんはまたいつも通り、裏の店に行ってしまった。

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それから私は、本当のユミちゃんを大好きになったし、

色々と苦労していても表に出さずに

強く生きている姿をずっとリスペクトしている。
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50歳になった今も、甥っ子姪っ子に仕送りしたり、

何かと身内の力になっている。

そして、私の店で食事をして周りに宣伝してくれている。
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小屋まで作ってくれた。
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繋がりのある八木原農園さんで

必ずイチゴ狩りをしてくれる。
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でも、
見返りなんか求めてない。
いまでも「大したことしてねぇし」って言う。
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わたしは、ユミちゃんがいたから、
全うに生きれたと思っている。
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死ぬまで恩人だ。