・・・なるとは、添付文書には書いてない。

代表的なリンゲル液の添付文書を読んでみても、副作用には「高血圧に注意」という記述は無いし、慎重投与の対象にも高血圧が無い。

で、500mlの点滴の中には塩化ナトリウム(NaCl)が3g入っている。

医療の現場では、この点滴を3~4本/day行う事が日常である。ということは、塩化ナトリウムを1日に9~12g血液へ注入する事が日常である。そして、この点滴を投与しながら高血圧に注意する医者はいない。20年以上現場にいるが、医療従事者の誰からも聞いたことが無い。

一般的に、製薬メーカーは様々な動物実験や臨床試験を行い、安全性を確認してから世に出している。1例でも副作用があれば注意喚起するのが常であるのに、その記述が無い。ということは、高血圧になった症例はいなかった という結果を得たということになる。いくら塩水を点滴しても高血圧にはならなかったという証明が既に製薬会社によって成されているということになってしまう。

では、減塩して蒸留水を点滴したら、量や速度にもよると思うが、死ぬであろう。浸透圧の問題をクリアしないと点滴には不適当である。5%グルコース点滴という無塩点滴もあるが、糖尿病とミネラル不足に注意と書いてある(血圧に関する記載は無い)。中心静脈栄養で食事が取れない人には高カロリー輸液が行われるが、カリウム抜きはあってもナトリウム抜きは定番点滴には無い。長期の点滴に塩化ナトリウムを含むミネラル成分は欠くべからざる物質なのが分かる。



過去のブログの繰り返しになるお話しではあるが、世の中は減塩指向であり、高血圧学会や医師会は減塩が素晴らしいというデータを出して減塩を推奨している。

が、

可能な限り塩分摂取を減らそうと言うのに、真夏の発汗は塩分を失う絶好の減塩機会である。この学会は、真夏の熱中症の時には口が裂けても減塩せよとは言わない。なぜならば、真夏の発汗が激しい時に塩分制限をすると熱中症で死亡する危険性が高まることを知っているからであろう。故に、世の中の報道の通り、熱中症対策は「充分な水分と塩分の補給」が重要となる。コンビニには「塩飴」も売られている。 ~ 水分だけを多量に摂ると血液が薄まり、0.9%食塩濃度を維持できなくなる。それは困るので余分な水分は残念ながら廃棄される(尿and/or汗)


高血圧学会は、ちゃんと年中無休で学会の信念である「減塩の指導」を真夏でもすべきである。秋冬になると減塩を推奨するのは信念を欠く。そもそも、体格も発汗量も生活環境も業務体系も違うのに、1日5g以下にするべきと数値を決めるのはどうかと。屋外作業筋骨隆々発汗男子と空調快適ほっそり事務員女子を同じ塩分摂取量にするのはうかと。


このような矛盾がなぜ生じるかというと、医学という学問を追究していく内に、血液が0.9%食塩水だということを忘れてしまうからだと思う。

点滴の内容を見ても分かるように、カリウムとカルシウムも入っている。この様な複合的なミネラルが大切だからである。精製塩には塩化ナトリウムしか無いので、存在自体がミネラルバランスを欠いたNaCl化合物に成り下がっている。

天然塩にはカリウム、カルシウム、マグネシウムがボチボチ入っている。その他の訳の分からない微量元素もたくさん含まれている。この有って無いような微量元素が必要なのだと言うことは科学的にも分かってきている。そして、我々日本人は海塩を摂取して生きてきた民族である。何事も取りすぎはいけないが、美味しいと感じる塩加減は至である。だから、減塩も過塩も良くはないと思うので、塩を目指すべきだと考えている。その適量はあなたの味覚が知っている。

、喫煙者やミネラル不足の人は味覚が鈍感なので、味を濃くして塩分に限らず何でも取りすぎる可能性が有るので味覚の是正は必要である。その点、マヨラーは危険である。

これも大切な食育と思う。


もう1つ、降圧剤の仕組みを見ますと、ナトリウムの出入りをブロックする薬剤は無いのである。塩分が高血圧になるというのに、血圧を下げる薬剤に塩分を調節する薬剤は無いのである。ここも大いなる減塩医療の矛盾点である。

1)ARB(アンギオテンシンII受容体ブロッカー):アンギオテンシンという血圧を上げるホルモンがくっつく場所を邪魔することで血圧の上昇を防ぐ
2)ACE阻害(アンジオテンシン変換酵素阻害薬):血圧を上げるホルモンの形になるのを邪魔して血圧の上昇を防ぐ
3)カルシウム拮抗剤:動脈という血管にある平滑筋という筋肉が収縮したり緩んだりするが、カルシウムイオンの出入りによる。それを邪魔して緩みっぱなしにして血管を広げて血圧を下げようとする
4、5)アルファブロッカー、ベータブロッカー:自律神経に影響を及ぼして血圧を下げようとする
6)利尿剤:身体から水を抜いて血圧を下げようとする

この様に、血圧の調節薬剤はホルモンと自律神経と水分であり、ナトリウムではない。もし、ナトリウム=カリウムポンプを止めると、生命活動が止まることとなる。だから、、、できないのである。


医学的なお話しは、このような 木を見て森を見ず という事が案外と多いのである。


長々とお読み頂き、ありがとうございます。


*長野県の減塩で長寿という報道は、減塩で不足するミネラルを補うべく、野菜・果物・穀類・種子類の摂取を同時に推奨しています。もともと信州蕎麦のそば処で、ビタミンやミネラル、蛋白質などの栄養素を豊富に含む蕎麦のみを食べる地域でもあります(蕎麦消費量日本一ではないようだけど)。