冷え込んできて
冬を感じさせるこの頃。
クローゼットを冬仕様にして
断捨離した服を
リサイクルショップへ。
バイバイする服を
査定してもらっている間
お店を物色するのが楽しみ。
店内をふらふらしていると
年の頃は70歳前後だろうか
メンズライクなファッションで
オシャレな人がいた。
鏡の前で
2枚の服を何度も交互にあてて
ものすごーく悩んでいる様子。
1枚は
MA1っぽい
かっこいいジャケット。
もう1枚は
よくその辺にありそうなダウン。
どうしようってくらい
悩んでるのがわかる（笑）
その様子がかわいくて
ついついガンミ。
MA1っぽいジャケが
とても似合っていて
素敵だったので
思わず
「素敵！」
と言ってしまった。
その人が振り返り
はっ、としつつも
「ありがとう」
と、にっこりした。
「どっちがいいかしら
迷ってるのよ」
また、２枚の服を
交互にあてて鏡を見る。
「こっちの方が
似合うと思います。
断然オシャレです。
雰囲気に合ってますもの」
そう言って
MA1っぽいジャケを指差した。
「そうよね
こっちの方が素敵よね。
でもね、一緒に来た友達が
これじゃなくてこっち（ダウン）に
しろって言うの。
軽くてあったかいから、って。
両方とも同じ値段なのよ」
そう言ってもう片方のダウンを見せた。
おばさんくさい（笑）
「答え出てるじゃないですか（笑）」
「そうなの、私もこれが好きなの。
でもね、友達がこれは寒いから
やめろって言うの」
「ちょっと着てみてくださいよ」
「あら、見てくれるの？」
「見せてください！」
その人は
MA1っぽいジャケを
着て見せてくれた。
「やっぱりこっちですね。
カッコイイ！！！」
「これ素敵よねー！！！」
顔がにっこにこ。
「心踊る方を選びましょうよ。
着ててテンション上がるやつ」
その人は
あちゃーって感じの
リアクションをして笑い出した。
「もし寒かったら
その上にユニクロの
薄手のダウンでも着たらいいし。
そのジャケの上に
ダウン着てもカッコいいです！」
「さっきあっちで
あなたとすれ違った時
あら、服の好みが一緒って
思ったのよ」
私は
フロントジップでフード付きの
フェイクレザーのジャケにジーンズ
キャップをかぶってた。
その人も
似たようなカッコしてたの。
ふたりで、うふふ、って笑った。
「余計なこと言っちゃいそうだから
もう行きますね（笑）
心踊る方ですよー！」
「ありがとう！」
私たちは
リサイクルショップの片隅で
そんなやりとりをして別れた。
少しして
私の服の査定が終わり
精算して店を出た。
服を3着売って
90円だったけど
その人とのやりとりは
プライスレスだった。
心ほかほか。
駐車場の車に乗ると
自然に笑みがこぼれてしまう。
楽しかったなぁ。
うれしかったなぁ。
あの人素敵だったなぁ。
ちょっと目の奥が熱くなった。
なぜだろう、なんか泣ける。
最高に素敵な気分だった。
とても、とても、幸せだった。
そうだ、私も
心踊るものを選ぼう
いつだって。
車のエンジンをかけながら
まだ店の中にいるその人に
心の中で、ありがとう、と言った。
美保さんのいいお話が
音声ファイルで
聞けるようになりました。
美保さんのお話
聞いたことがない人もぜひ。
聞き終わったら
心が軽くなっていることに
気がつくでしょう。
