いつものように
電車に座ると
iPhoneを出して
いじっていた。
しばらく
Facebookを徘徊して
ふと顔を上げると
私の前に立っていたのは
背中のまるまったおばあさん。
席を立ち
そのおばあさんに
席を譲った。
ありがとう、と言って
おばあさんが座った。
ふたつある重そうな荷物を
よっこいしょと膝に乗せ
座ったおばあさんを見て
ケータイばかりいじっていると
目の前のことが見えなくなるけど
時々は顔を上げて
周りを見てみるのも
いいもんだなぁと思った。
それからいくつかの駅を過ぎ
おばあさんが席を立ち
電車を降りる様子。
おばあさんが
立ち去る時に
にっこり笑って
小さな声で言った。
「ありがとう」
そして
なんども頭を下げながら
電車を降りて行った。
うれしかった。
本当にうれしかった。
泣きそうになった。
幸せだなぁって思った。
笑顔っていいな。
誰かが笑う。
自分に向かって笑う。
こんなに素敵なことって
あるだろうか。
誰かが自分に
笑いかけてくれると
こんなにも幸せな気持ちになる。
以前
果てしなく落ち込んでいた時
スーパーのレジのおねーさんが
お釣りを返しながら
ありがとうございます、と
にっこり笑ってくれた時
本当にうれしかった。
元気が出た。
よし、頑張るぞ、と思った。
帰り道は鼻歌を歌った。
笑顔ってすごいな。
何かを話すことや
何かをすること
時にそれよりも力強く
笑顔は多くを与える。
誰でもそんなすごい
笑顔を持っている。
誰もがその笑顔で
誰かを幸せにできるんだ。
私がこんなにも幸せになったように。
私があんなにも元気になったように。
だから
私も笑おうって思う。
もちろん
人生には笑えない時もある。
笑いたくない時もある。
それは、それで、いい。
笑える時は笑おうって思う。
そう思ってると
自然に笑顔になる。
面白いもんでね
楽しいから笑うんじゃないんだ。
笑うから楽しいんだ。
それに気づいたよ。
笑顔は
自分でそんなつもりはなくても
知らないところできっと
誰かを幸せにしている。
もう二度と会わない誰かを
救っているかもしれない。
私には何もない…
あの人はああなのに私なんか…
そんな考えが浮かんだら
思い出してほしい。
私には笑顔がある、って。
笑って。
笑顔が見たい。
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