自分の部屋で
がさごそやっていると、
母が階段の下からが私を呼ぶ。

「恵美~、恵美~」

なんじゃと思い、
部屋から顔を出してみると、

「おしるこ作ったよ。
 おもち食べない?」

そう言った。



うれしかった。

おしるこ作ってくれたんだ…

うれしかった。
それだけなんだけど、
本当に、本当に、うれしかった。

自分に何かをしてくれる人がいる、
こんなにうれしいことがあるだろうか。



そして、ふと、思った。
子供の頃から、実は、こうして、
私はいつも何かしてもらってた。

朝起こしてもらったり、
ごはん作ってもらったり、
洗濯してもらったり、
授業参観に来てもらったり、
洋服買ってもらったり、

本当に、本当に、
たくさんのことをしてもらった。

けれど、子供の頃は、
それが当たり前だった。
別にありがたいとも思わなかった。



月日が流れ、大人になり、
私は、同じことをしてもらって、
うれしい、ありがたい、
そう感じるようになった。

そして、そう感じられる自分が、
とってもうれしかった。
何よりうれしかった。



今でも、
ちょっとしたことでぶつかり、
白熱バトルを繰り返す、
母と私。

母のイヤなとこ、
いっぱいある。
ホント、ムカつく。

でも、もうそれは問題じゃなかった。



今、この瞬間、
ここに生きて、
人のあたたかさを感じる、
そこにある愛を感じる、
それがすべてなんだ。



母が作ったおしるこは、
よくよく見るとつぶあんのぜんざいで、
こしあん派の私は、
ちょっとがっかりだったんだけど、
そのがっかりさえも愛おしい、
そんな午後が、
自分がどれだけ幸せなのかを、
静かに、静かに、教えてくれるのだった。







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