半年ほど前の作品。一見恋愛もののようだが……。
僕は岡崎真守。今日から新学期。今日から僕も中学二年生だ。僕の中学は小学校の時のメンバーがそのまま進級してくるので、新鮮味がない。せっかくクラス替えをしても顔馴染みばかりだ。
だが、そんな僕のクラスに転校生がやってきた。しかも女の子。広崎茉莉と名乗る女の子は僕の右隣の席に座った。ホームルームの時間、一人ずつ自己紹介をしていった。もちろん僕の隣の彼女もだ。
「わたし、広崎茉莉って言います。――――わからないことだらけですが仲良くしてね」
そうこうしているうちに放課後になった。授業中も昼休みも僕は彼女のことで頭がいっぱいだった。そして、放課後意を決して話しかけようとしていたら思いがけなく彼女のほうから僕に話しかけてきた。
「ねえ、福島くん。わたしちょっと福島くんに話したいことがあるんだ。ほかの人に聞かれたくないからこの紙に書いてある場所に来て」
そういうと彼女はすぐに教室を出ていった。僕は彼女が教室を出るとすぐに彼女から渡された紙を読んだ。
『福島くんへ 今日の17時、旧校舎の屋上で待ってます! 広崎茉莉』
旧校舎は今の校舎ができる前に使われていた校舎で、今は物置として使われほとんど人の出入りがない。僕は転入してきて早々愛の告白をされるのかと期待しつつ17時ぴったりに着くように旧校舎の屋上に向かった。僕が着いたとき、そこには彼女の姿はなかった。
そしてしばらくして背後に人の気配を感じた僕は振り向いた。その瞬間、僕は唇になにか温かいものを感じた。突然のことで僕はなにが起きたのかわからなかったがしばらくして僕は彼女からキスをされていることに気付いた。僕が顔を赤らめていると彼女は言った。
「ねえ、青崎遥香って子知ってる?」
僕はその名前に聞き覚えがあった。見た目も性格もパッとしない女の子で小学校のときいじめていた。そして中学校に入る前に交通事故で亡くなった。
「青崎遥香はわたしの双子の姉で幼稚園の頃、両親の離婚で姉は母方に引き取られ母の旧姓青崎を名乗り、わたしはそのまま父方に引き取られた。姉の遥香は福島くんのことが好きだった。たとえいじめられていても。」
僕は今度は唇ではなく腹部に温かいものを感じた。見てみると僕の腹部にナイフが突き刺さっていた。
「福島くん、わたしは福島くんに姉の復讐をするためにこの学校に転入してきたの。さっきのキスは最後まで福島くんのことを好きでいた姉の未練を果たすため。そして今刺したナイフはわたしの個人的な復讐」
そういうと彼女はその場をあとにした。次第に遠のいていく意識の中、僕の耳に旧校舎の屋上の扉が閉まる音だけが延々と響き渡った。