こんにちは、イトウエルマです。
名古屋方面の方からいただく、
ものすごく嬉しいお土産があります。
それは、笹井屋の「なが餅」。
名前の通りの細長い餅菓子。
お餅には甘みや塩味などの味付けを一切していない、
中に入るのは小豆のあんこ。
表面が軽く炙ってある。
なんだ、餅とあんこの組み合わせか。
珍しくもない。
そう思われる方のお気持ちもよくわかります。
かつての自分もそうでした。
なが餅をつまむときにはいつも
これはちょっとばかし形が変わっただけの
ありふれた和菓子の類いなんだぞ。
特段驚くようなものなんかじゃないんだ。
と、言いきかせつつ摘み、
それにしてもこのお餅は
どうしてこんなに美味しいのだろう
と毎度感動させられていた!
今では名古屋駅に下車すると
なが餅が売ってはいないか、そわそわ。
名古屋駅の新幹線構内のお土産コーナーだと、
この なが餅 が簡単に見つかります。
ですが新幹線の改札を出ると、
私の愛するなが餅が買える売店はなかった(涙)
で、代わりに購入できる似た感じの餅菓子が「安永餅」。
やはり長いあんこ入りお餅菓子です。
こちらは改札外のベルマート(名古屋方面のコンビニ的キヨスク)で売っています。
安永餅も美味しいけれど、なが餅ともまたちょっと違う。
食べ比べてみたいものだと思っていたら!
なんと在来線中央改札を出たところにある
「グランドキヨスク 名古屋」で
なが餅を売っていた!!
(なぜ、血眼になって探していたのにいままで見つけられなかったのだろうか!?
……それはともかくも)
両方を買って食べ比べてみました。
なが餅 は 天文19年、戦国時代からのお品。
安永餅 は 寛永11年(だいたい380年くらい前)からのお品。
どちらも歴史があります。
まず、見た目から。
なが餅は手にすると、表面のざらっとした素朴さ満載な感じにほっとさせられます。
細長い形をしっかり保っているのが丁寧な炙りの作業によるものであるのが
見た感じからも伝わります。この、餅の表面の炙りもまた不規則な感じがする。
安永餅はというと、手にして分かるのは ぽてっとした、重み。
なが餅よりも中に入る餡の量が多いのでしょう、
餅の真ん中を持つと両端が軽く垂下がります。
表面によじれはなく、滑らかで、炙りも均一。
さて、中の餡を見ると、
なが餅のあんこの水分はかなり少なく、まるで濡れ甘納豆のような艶が出ている。
甘みは強いけれど、素材一粒一粒から小豆の味がちゃんとして、
それがお餅と、こんがり焼かれた香ばしい味によって引き立てられている。
安永餅のあんこはもうすこししっとりしている。どら焼き屋さんのあんこに近い!?
餅の柔らかさと中のあんこの柔らかさがよく合っている。
お餅らしくてあんこらしいお味がします。
で、どちらが美味しいか!?
もうこれは自分の主観でしかありません、
何の冷静さもなく申し上げますと
私はなが餅が、好きです!
しこっとした餅のよさが噛みしめた瞬間に感じられ、
炙った餅の香ばしさが口中から鼻腔に抜ける。
不規則な表面のよじれによって生じる
食感、歯触りの意外性が食べ手を常に飽きさせない。
中のあんこと餅の塩梅もよくて
素朴な風味と、あんこの和菓子らしさが
ただ、あんころ餅を長くしただけのものでは
断じてないのだと強く主張している。
土塊を金に匹敵するほどのクオリティーに磨き上げた戦国時代の
素朴さの中に見いだされた真理と同様のものを
私はなが餅から感じてやまないのでありました。
なが餅への贔屓目は、最初に出会って
食べ続けてきたことも大きいかもです。
安永餅の折り目正しさ、気品もまた、
捨て難いのでありますよ。
いずれにせよ、なが餅も、安永餅も、
もらって嬉しいし、もらえないなら
必ず買って帰りたいお品であることに変わりはありません。
なが餅も安永餅も賞味期限は製造日より3日ほど。
日が経つにつれて餅が固くなってしまうのですが、
私はこの、3日目辺りのちょっと固くなってきた塩梅をいただくのも
大好きなのであります。
(固くなったら炙る、という提案があるのですが、
その前になくなってしまう。いつかやってみたいものだ)
柔らかい→少しずつ固くなる
の変化を楽しむのも なが餅&安永餅 の楽しさだと思います。
慌てて食べなくとも、冷凍 という方法もありますよ。
これなら1ヶ月くらいは少なくとも柔らかな
なが餅 安永餅を楽しめます。
この手の和菓子は特に、
おそばをいただいた後に恋しくなるんですよね。
おそばも和菓子も日本が世界に誇る
大切な食文化。
立ちそばだとお手頃で楽しめるのが魅力です。
