発売当時、宮部みゆきや伊坂幸太郎が大絶賛していた超話題作。
舞台は近未来。テロ、戦争、人間の残虐性を描いた秀作。作者伊藤計劃（いとう・けいかく）は2009年に34歳で夭折したが、2015年アニメ映画化が決定している。
9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。アメリカでは徹底的な管理体制でテロを一掃することに成功したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍クラヴィス・シェパード大尉は、常にその混乱の中心にいる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼は「虐殺の文法」を使ってあちこちの国々で内戦を引き起こさせている危険人物だ。はたしてジョン・ポール暗殺計画は成功するのか? ジョン・ポールの真の目的とはなにか? 大量殺戮を引き起こす「虐殺の文法」とは何か?
...凄惨な場面が多く読むのがかなりしんどかったというのが正直な感想。しかし人間の持つ残虐性など人間の深層心理に迫る描写には強く引き込まれた。軍事国家アメリカへの皮肉たっぷりの物語が秀逸。