2年ほど前に当時の予備校講師から聞いたインドカレー屋さんでの話。
彼の家の近くに「本格インドカレー」を謳うカレー屋ができたらしい。
いわゆる
- カレーの種類は10数種類
- 緑色やオレンジのカレー
- 付け合わせはナン
- 飲み物はラッシー
といった感じだ。ちなみにラッシーはわかりやすく言えば、カルピスと飲むヨーグルトの間くらいといったところか。この前飲んでみたらとてもおいしかった。
もともと駅前で割引のビラを配っていてそのことを知ったらしい。白い帽子をかぶった真っ黒なインド人は明らかに駅前では浮いた存在だった。
入ってみると店内の雰囲気、塗装ともにインドのイメージそのままだったという。まるでこの店だけインドなのではないか、と思うほど店員も店の壁に書いてある言葉もとても日本にいるとは思えなかった。
メニューに書いてある日本語でやっとここが日本だと気づいた。
注文を聞くのもインドの人だった。日本語を懸命に勉強しているのはわかるが、やはりコミュニケーションには多少の難はあった。
料理を待つ間にふっと厨房が見えてしまったらしい。そのときにスパイスを色々混ぜて煮詰めていたのは・・・・・・
ゴリゴリの日本人だったという。
それに戸惑いつつも出てきたグリーンカレーは日本のカレーとは大きく違うものでとても美味しかったがなんか騙された気分になった。
っていう話だった。
僕はこの話を聞いて、そのときは面白い話だなーなんて聞き流していたが、
今は真実とウソにおいて必ずしも真実だけが正解なわけではないのかな、なんてことを思う。
だって、厨房が見えなければきっと先生は
「日本のとは全然違うけどうまいなー」といって帰っていたはずだ。
そして、その満足感は「日本人が作った本格インドカレーですよ」と宣言されるよりインド人が作った雰囲気を出したほうがきっと大きくなるだろう。
僕はいままで世界の真実の芯をとらえて生きていこうと思っていた。
とことん真実を追求することが正しいことだと思ってきた。
そう教えられたのかもしれない。
わからないことがあればとことん調べ考えて、それがわかることで人間 はより賢く楽しく生きることができると。
でも、それはインドカレーにおいては違ったし、考えてみると違うことが多い気がしてきた。アイドルのスキャンダルとかもそうだろう。
よくわからない、モヤモヤしているものをそのままにしとくっていうのも悪くないな、と思った。
もちろん凄く知りたいんだけど、知ってしまったら後悔するかもしれないから。
真実を探求することが生きていくうえで正解とは限らない。
読んでくださりありがとうございました。