『ポゼッション』
1980年 フランス・西ドイツ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 アンジェイ・ズラウスキー
撮影 ブルーノ・ニュイッテン
音楽 アンジェイ・コジンスキー
出演 イザベル・アジャーニ/サム・ニール/ハインツ・ベネント/マルギット・カルステンセン
《解説》
愛と狂気と異形の神話
愛に苦しむ男と女の姿を描き続けたポーランドの鬼才アンジェイ・ズラウスキーが、「アデルの恋の物語」のイザベル・アジャーニ主演で描いた不条理スリラー、相手役に「オーメン 最後の闘争」のサム・ニール
その驚愕の物語、圧倒的な映像美、アジャーニの演技を超えた演技によって世界各国で映画賞に輝いた、第34回カンヌ国際映画祭主演女優賞、第7回セザール賞最優秀女優賞など数々の映画賞を受賞
《物語》
長期の単身赴任を終えて久々に自宅に戻ったマルクだったがマルクを迎えた妻のアンナの態度はよそよそしく帰宅してすぐにもめる2人、久々のセックスも良いものではなくアンナの心はここにあらず
どんな夫婦にも起こり得る事だとアンナは言い、家族の為に仕事をして帰って来たのに納得のいかないマルク、唯一の救いは息子のボブの無邪気な姿だった
翌日に仕事の結果の報告に向かうマルクは家族の為と仕事を辞め、家に戻るとアンナもボブもいなくなっていた、しばらくして電話が鳴り、アンナは一人で考えたいと一方的に電話は切れた
マルクはアンナの友人のマージに電話をすると彼女が言うには他に男がいるようだと、その直後にアンナから電話が入りマルクは男の存在を確認し、カフェで会おうと約束をして電話を切った
カフェで養育費の事について話し合うとマルクはもうボブには会わないと言い、その言葉にアンナは怒り、更には不倫相手の男は素晴らしく先に出会いたかったと吐き捨てた
その言葉にマルクは怒りカフェで大暴れするも従業員たちに取り押さえられた、その後マルクはホテルに一人閉じ籠って酒に溺れ、精神的に落ち着いた頃に家に戻るとボブが汚れた姿で一人座っていた
アンナがボブをほったらかしにして出掛けている、しばらくするとアンナが買い物袋を抱えて帰宅、マルクに言い訳をするアンナにマルクは自分がここに住んでボブの面倒をみるから出て行けと
ここに住みたいなら男と別れろ、その男を愛していてもいいからここの残れと未練たっぷり、二人は疲れて眠り、マルクが目を覚ますとアンナの姿はなかった
マージに電話をして男の電話番号を聞き出し、その電話番号から電話帳で不倫相手の男ハインリッヒの住所を調べてハインリッヒの家に向かう
ハインリッヒと話し合っていたのだがハインリッヒの自信のある余裕たっぷりの態度に腹が立ち殴り掛かるもハインリッヒは武道家のようで簡単にいなされてしまった
鼻血を出してマルクが家に戻るとアンナとボブが楽しそうに過ごしていた、問い詰めるマルクにアンナが理屈通りにはいかないと怒り狂い、誰とでも寝る女よとマルクを平手打ち、マルクも何発もアンナを殴り、血だらけになったアンナは出て行ってしまった
その後、マルクは探偵を雇い、アンナを尾行してほしいと依頼、探偵はアンナを尾行し、アンナはダウンタウンの古いアパートメントに入った、探偵が中に入るとそこにいたのはアンナと異形のものだった
《感想》
とにかくアンナを演じるイザベル・アジャーニの狂気の演技がもの凄いです、特に地下鉄から降りて地下道を歩くシーンでの強烈な演技はぶっ飛んでます、体中の穴から体液を流しまくるシーンは圧巻
最初はマルクが長期の単身赴任から帰宅するところから始まるんです、ですが妻のアンナはなんだかよそよそしくてマルクがアンナの不倫相手を捜して見付けるような愛憎劇かと思っていたんです
そしたらアンナが段々とおかしくなっていくんです、手の平をくっ付けながらイライラしたりとこれが演技なの?って思うぐらい普通ではないんです
家の物を壊しまくったりマルクに暴言を吐いたり、息子のボブを溺愛しているのにほったらかしにしてどこかに行ったりと奇行が目立ち始めるんです
マルクもアンナに不倫相手を称賛するような暴言を吐かれてカフェで大暴れ、椅子を投げたりするのですが従業員数名に取り押さえられて、ホテルで酒浸りの日々を過ごして三週間後に精神的に落ち着くんです
マルクを演じるのが「オーメン 最後の闘争」のサム・ニール、クールな顔立ちなんですけど全然クールではなくて感情のままに動いたりするんです、なのでアンナにも手を上げます
家に戻ってアンナはいなくてボブだけ、マルクはボブを学校に送るのですがその担任教師のヘレンがアンナそっくりでマルクは髪の毛を引っ張って確認してしまうほど、イザベル・アジャーニの二役です
アンナの不倫相手の存在を知って男ハインリッヒの自宅に押し掛けるんです、中に入って部屋の中を全て見て静かに受け答えするハインリッヒに腹が立って殴り掛かるのですが返り討ち
ハインリッヒが撮影している映像にバレエを習う子供たちを指導するアンナの姿があるのですが、それがまたかなりのスパルタで素質のある子ほど厳しく指導するんです、これは怖い先生でしたね
マルクはアンナがハインリッヒの家に行っているわけではないと分かって他にも男がいるのではと勘ぐるんです、そこで探偵を雇ってアンナを尾行させるのですがアンナは町の外れにある古いアパートメントに入るんです
これがまさに古い時代を感じさせるアパートメントでドアがめちゃ高いし、部屋の中も天井が高くて窓も大きいんです、そこに探偵が侵入するのですが戻って来る事はないんです
その頃のマルクはヘレンとの仲が良くなっていって、探偵にアンナを調査させたのですが興味が薄くなっているんです、そこに探偵社の者がやってきて戻らないので知っている事を教えて欲しいと、マルクは探偵から聞いたアンナの住所を教えるんです、その探偵も戻りません
そのうちハインリッヒがアンナはどこだとマルクを訪ねて来るのでマルクはアンナの住所を教えるんです、そこでハインリッヒは驚愕な物を見るのですが逃げて来るんです
それをマルクに知らせるのですがマルクはアンナのアパートメントに行くとそこに異形のモノがいるんです、不倫の映画かと思っていたらまさかのホラーかオカルトになってしまう凄い展開なんです
しかも2時間くらいの作品なのですが異形のモノが現れるのは45分ほどでそこからずっと続きます、もっとギリギリまで引っ張った方が良いのではと思われますが、それがアンジェイ・ズラウスキー監督の手腕なんですね
愛は妄想なのか《憑依》、キケンな愛の黙示録がはじまる… それが『ポゼッション』です。
レビューはほとんど確信には触れてませんが、誰にでもお勧め出来る作品ではありませんが、一生記憶に残る作品です。
更に過激な続・裏237号室の『ポゼッション』のレビューはこちらです。