外へ出て行くと、ピカピカのクルマが止まっていた。
俺は、あっ!と思った。
『いいだろう!』と、会長が言う。
俺は、黙ってクルマを見ていた。
『会長。これなんか変わっていません?』
『ああっ!これで完璧に仕上がった。』
『気に入らないか?』
『イヤ、カッコいいですけど・・・』
『そうだろうー!』
『でも、こんなに金掛けないでしょ。クルマ自体も高いのに・・・普通・・・』
『金か!そう言われればそうだな!』と言いながら、わはははっと笑っている。
『それにナンバー変わってませんっていうか、変わってますよね?』
『変わってるよ。』
『そんなことできるんですか?しかも、この数字?』
『ちゃんと手続してるから大丈夫だよ。』
『でもこれじゃ、俺って直ぐに分かるでしょ。』
『だから、そうしたんだよ。俺の会社にも登録したし、奥様の葬儀であった奴らにも連絡済みだ。これ
で、トラブルになっても直ぐに解決するよ』と、別世界の事を言っている。
『でも、俺、こんなんじゃ運転できないですよ』というと、
さすがの会長も黙ってしまった。
『でも、うれしいですよ。会長、ありがとう。』というと、
横から『私が運転できます。大丈夫でーす!』と、つぐみが言いだした。
うそっ!!!
コイツの運転は宮崎で知っている。
『お前、この車、幾らするのか知ってんのか?それに、後からいくらかかってんのかも・・』
しかし、『クルマでしょ。一緒だよ』と言う始末。
会長は、はははっと笑い出し、『ぶつけたら、直ぐに電話しておいでなおしてあげるから』と言った。
俺の宝物が、鉄くずになる事のないように、願うしかなかった。。。。。
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