朝、起きると、つぐみはまだ寝ていた。
昨日の夜、『せっかく、HIROTOが海に行きたいって言ってんのに、行けなんて』と、言って
部屋の中で、腕立て伏せをしていた。イヤ、しようとしていたが正しいかもしれない。
結果は、一回も出来なかった。
俺は、また、ふふっと笑った。
『何笑ってんの?こっちは真面目なんだからね』といい、ふて腐れていた。
俺は、つぐみが起きる前に、自室の前の廊下に出た。
ここで俺は、会長に感謝した。
いいリハビリ施設までつけてくれて・・・・
保養所ということもあり、廊下に手摺がついている。
俺は、左手で手摺を掴み、歩き出した。
しかし、経験のない人はウソかと思うかもしれないが、ホントに人間の体はそれなりに出来ている。
何か月も、ベットで過ごしている俺の筋肉は、足の腿、手の筋肉、全てがそぎ落とされていた。
ほんの十数メートル歩いただけで、息は上がり、そこに座り込む。
そして、また、同じことを繰り返す。
リハビリ科というのも頷ける。
でも、俺は、無心になって同じことを繰り返した。
あそこの海に自分で辿りつくことを、ひとつの目標に・・・
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