俺は、ばあさんの家にしばらくいる事にした。
ここ何日前から、横になる事が多かった。
それでも、夕食の際は起きてきて食事を自分で作ると言って聞かなかった。
明らかに進行しているのが、手に取るように分かった。
自分でも、思わず『頭が痛い・・・』などという事もある。
俺は、思いたくはないが、近いなぁと思っていた。
それから何日して、もう、ほとんど横になっている事が多かった。
俺は、聞いていた医師に電話をし、どうするべきかを聞いた。
医師は、入院をするべきだと言う。
するとある日、ばあさんが、ヨレヨレの状態に近い中で起きてきた。
『HIROTO、これ・・』といい、俺の通帳と印鑑を渡してきた。
『ああっ、あの時はありがとね。』といい、通帳の中を見ると金が引き出されていない。
『なんだよこれ!』というと、
もう一冊、通帳と印鑑を出して俺に渡した。名義は俺の名前になっている。
通帳を開くと、見たこともない金額が入っていた。
『なんなんだよ。』
『これからの人生で持っていても困りはしないだろ。』と言う。
『こんなことされたら、死にかけたばあさんの遺産目当てみたいじゃねぇか』と、思わず言ってしまった。
『ふふふっ』と、力なしに笑っている。
俺は通帳と印鑑を返した。
『誰もそうは思いわしないわ・・・』と、又、俺に渡してきた。
『クルマだって、もう使わないからいらないよ。金も要らないから・・・病院行こう・・』
と、言った。
『これは、お前にお願いごとをする依頼料だ』
『依頼?』
『ああっ・・・お前に頼みたいことがある』
『なんなの?』
それは・・・・
つづく
ポチっとお願いします。