さすがの会長も、これだけは参っていた・・・・・
この人だって、出来る事と出来ない事がある・・・
それにあんなに無茶を言う、ばあさんに驚きさえ感じているようだ・・・
会長は、クルマ屋さんを全員返した。
会長いわく、彼らではどうにもならないからという事だった・・・・
会長は俺に、『HIROTO君、奥様になにかあったのかい?』と聞いてきた。
俺は、正直、迷っていた。
言うべきか、そうでないべきか・・・
でも、ばあさんが言った、吉川の妻、という言葉を守ってあげる事にした。
いずれという日が、来た時には、俺は会長に怒られるどころではないと思ったが・・・
『ただ機嫌が悪いだけですよ。』と、俺は答えた。
しかし、会長は、『時間がないと言っていたが、なんの事だ?』と言う。
俺はほとほと困った。
しかし、『さぁ、それは僕にもわかりません』と答えるしかなかった。
出来る事なら、してあげたい・・・・
でも・・・・『会長、ホントに失礼ですけど、会長でも無理なんですか?』と、聞いてみた。
『・・・・・・・』
『そうですよね。。。。』
『一回、戻る』といい、会長は帰って行った。
しばらくすると、ばあさんが起きてきた。
『クルマはどうなった?』
『ばあさん、無理だよ。』
『そうか・・・』と悲しい目をしている。
『しょうがないよ。』
『いくら金があっても、私は贅沢を好まなかったが、初めての贅沢がかなわんか。』
そうだよな・・・
分かるよ・・・俺にはその気持ち・・・
すると、また、奥の部屋へ入って行った。
携帯が鳴った。知らない番号だった・・・・
つづく
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